退職金の相場【2026年版】勤続年数別の早見表と中退共・公務員・役員の違い

相場の目安:中小企業・大卒の自己都合で勤続10年 約113万円・20年 約347万円。勤続20年以上で定年退職した大卒の平均は1,896万円。表で見る

退職金の相場【2026年版】勤続年数別の早見表と中退共・公務員・役員の違い

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退職・退職金・税金に関する公的情報を専門に扱うメディア。国税庁・厚生労働省・中退共本部の公表資料をもとに、最新の退職金制度と税制を利用者目線でわかりやすく解説しています。

「退職金はいくらもらえる?」「税金はどれだけ引かれる?」――退職を控えた多くの方が最初にぶつかる疑問が退職金の金額計算と税額シミュレーションです。

本記事は、国税庁公式の退職所得課税ルール、厚生労働省・東京都の調査による勤続年数別の相場と、月給から見当をつける早見表、2022年分からの短期退職特例、民間企業・公務員・役員・中退共・建退共の計算式を一記事にまとめたガイドです。読み終えれば、自分の退職金の見当と、税額・手取りの計算方法が分かります。

この記事でわかること
  • 勤続年数・退職理由・会社の規模別の退職金の相場(厚生労働省・東京都の調査)
  • 退職時の月給から自分の退職金の見当をつける早見表
  • 退職所得控除の計算式(勤続20年以下=40万円×年数 / 20年超=800万円+70万円×超過年数)と1/2課税の仕組み(2022年分からの短期退職特例含む)
  • 民間企業・公務員・役員・中退共・建退共・特退共の計算式の違い
  • 退職所得の受給に関する申告書を出さないと20.42%が源泉徴収される理由
  • 退職金とiDeCo・企業型DCの一時金を受け取る順番と年数(2026年からの「10年ルール」)

【まず結論】勤続年数別の退職金の相場

退職金の額は会社の退職金規程で決まり、法律で決まった額はありません。相場の手がかりになる公的な調査は2つあり、勤続10〜30年は東京都の調査(中小企業のモデル退職金)、勤続20年以上の実績は厚生労働省の調査が目安になります。

勤続10〜30年:中小企業のモデル退職金(東京都)

勤続年数自己都合
(万円)
会社都合
(万円)
10年112.5144.8
15年209.3255.9
20年346.8408.1
25年507.3615.6
30年750.7776.2

大学卒(卒業してすぐ入社した場合で、勤続10年=32歳・30年=52歳)。都内の従業員10〜299人の企業が回答した「モデル退職金」(学校を卒業してすぐに入社し、普通の能力と成績で勤めた場合の水準)で、実際に支払った額の平均ではありません。定年時は大学卒1,149.5万円・高校卒974.1万円。出典: 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」図表8-1

勤続20年以上:定年退職した人の平均(厚生労働省)

勤続年数大学卒
(万円)
高校卒
(万円)
20〜24年1,021557
25〜29年1,559618
30〜34年1,8911,094
35年以上2,0371,909

令和4年の1年間に、勤続20年以上かつ45歳以上で定年退職した人の1人平均。退職一時金と退職年金(年金現価)の合計です。大学卒・高校卒は調査の区分「管理・事務・技術職」。高校卒(現業職)は勤続の短い順に406万円・555万円・800万円・1,471万円。調査の対象は常用労働者30人以上の民営企業です。出典: 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」第23表

同じ調査で、大学卒(管理・事務・技術職)・勤続20年以上の人の平均を会社の規模別に比べると、次のように差があります。

会社の規模定年
(万円)
自己都合
(万円)
1,000人以上2,1911,928
30〜99人1,282694
全体1,8961,441

勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の平均なので、勤続の短い人の自己都合退職は上の東京都の表のほうが近い目安です。退職金の制度がある会社は全体の74.9%(1,000人以上90.1%・30〜99人70.1%)。出典: 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」第37表(e-Stat)・第16表

「自分の場合はいくら?」を正確に知りたい方は、退職金額・勤続年数・障害退職有無を入力するだけの退職金 手取り計算シミュレーターをご利用ください。国税庁公式の計算式(退職所得控除+1/2課税+累進税率+復興特別所得税+住民税10%)を実装した自動計算ツールで、所得税・住民税の内訳と手取り額が即座に算出されます。

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退職金の計算方法(基本公式)

退職金には大きく分けて「①企業が支給する金額の計算」と「②税法上の退職所得控除の計算」の2つの計算が存在します。前者は各社の就業規則・退職金規程で決まり、後者は全国共通で国税庁が定めるルールに従います。

①企業が支給する退職金の計算式(代表的な4タイプ)

方式計算式
基本給連動型退職時基本給 × 勤続年数別係数 × 退職事由別係数
別テーブル型勤続年数・等級別の固定額テーブルから決定
ポイント制(勤続ポイント+役職ポイント+評価ポイント) × 単価 × 退職事由別係数
定額制勤続年数別の定額(基本給と無関係)

例: 月額基本給30万円・勤続10年・自己都合(係数0.7)・基本給連動型(支給率10年=4.0)の場合、30万円 × 4.0 × 0.7 = 84万円が会社支給の退職金です。具体的な係数表は会社の退職金規程で確認してください。

②税法上の退職所得控除の基本公式(国税庁共通ルール)

受け取った退職金に税金を計算する際の控除額は、勤続年数で2パターンに分かれます。

勤続20年以下の公式: 40万円×年数(最低80万円)

勤続20年以下の退職所得控除

退職所得控除 = 40万円 × 勤続年数

※算出額が80万円未満の場合は80万円(最低保証)

※障害により退職した場合は+100万円加算

例: 勤続10年 → 40万円 × 10 = 400万円。勤続1年 → 80万円(最低保証)。勤続15年・障害退職 → 40×15+100 = 700万円。勤続年数の端数は切り上げです。

勤続20年超の公式: 800万円 + 70万円×(年数-20)

勤続20年超の退職所得控除

退職所得控除 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20)

※障害退職の場合は+100万円加算

例: 勤続30年 → 800万円 + 70万円 × 10 = 1,500万円。勤続35年 → 800万円 + 70万円 × 15 = 1,850万円。勤続40年 → 800万円 + 70万円 × 20 = 2,200万円。

20年を境に1年あたりの控除額が40万円→70万円に増える設計のため、勤続20年(800万円)と勤続21年(870万円)では控除が70万円違います。勤続年数は1年未満の端数を1年に切り上げるので、勤続20年を1日でも超えると21年として計算されます。退職日を選べる方は、20年を超えるかどうかを確認してください。

出典: 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

【早見表】退職時の月給から退職金の見当をつける

上の東京都の調査は、モデル退職金が月給の何か月分か(支給月数)も出しています。自分の退職時の月給に掛けると、中小企業の水準での見当がつきます。

勤続年数別の支給月数(大学卒)

勤続年数自己都合
(か月分)
会社都合
(か月分)
10年3.95.0
15年6.68.1
20年9.811.6
25年13.015.8
30年17.818.4

モデル退職金をモデル所定時間内賃金(残業代など所定時間外の賃金を含まない月給)で割った月数。定年時は24.9か月分。出典: 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」図表8-1

月給別の退職金の目安(自己都合退職・単位は万円)

勤続月給
25万円
月給
30万円
月給
40万円
10年98117156
15年165198264
20年245294392
25年325390520
30年445534712

単位は万円。月給 × 上の表の自己都合の支給月数で計算した目安(1万円未満を四捨五入。月給25万円・勤続10年は97.5万円)。会社の退職金規程・役職・評価で大きく変わります。基本給 × 支給率で決める会社なら、会社の支給率表で計算するのが正確です。

例えば月給25万円・勤続20年で自己都合退職なら、25万円 × 9.8か月 = 約245万円が中小企業の水準での目安です。この表の範囲の額は、どれも退職所得控除(勤続10年で400万円、20年で800万円、30年で1,500万円)を下回るため、所得税・住民税はかかりません(「退職所得の受給に関する申告書」を出している場合)。

控除を超える額のときの税額と手取りは退職金 手取り計算シミュレーターで確認できます。退職金額・勤続年数・障害退職の有無・役員勤続の有無を入力するだけで、退職所得控除・課税退職所得・所得税・住民税・手取り額の内訳が一目で分かります。

退職金にかかる税金計算(所得税・住民税)

退職金の税金は、給与所得とは分離して計算する「分離課税」です。退職所得控除と1/2課税の両方が適用されるため、同額の給与より大幅に税負担が軽くなります。

退職所得控除の計算

前述の通り、勤続20年以下=40万円×年数(最低80万円)、20年超=800万円+70万円×(年数-20)で算出します。障害退職の場合は一律100万円加算。退職所得控除より退職金額が少ない場合は税額0円です。

1/2課税の仕組み(勤続5年超)

課税退職所得の計算式(原則)

課税退職所得 = (退職金 - 退職所得控除) × 1/2

※1,000円未満切り捨て

例: 退職金2,000万円・控除1,500万円の場合、(2,000 - 1,500)×1/2 = 250万円が課税退職所得です。この250万円に所得税の累進税率(10%・控除97,500円)を適用すると、所得税は250万円×10%-97,500円=152,500円。復興特別所得税2.1%(3,202円)を加えて155,702円、住民税10%は25万円、合計405,702円(約40.6万円)が税負担で、手取りは約1,959.4万円となります。

勤続5年以下の短期退職特例(2022年分から)

令和3年度税制改正のポイント:短期退職手当等の1/2課税制限(2022年分から適用)

勤続5年以下の従業員が受け取る退職金(=短期退職手当等)については、退職所得控除を引いた後の金額のうち300万円超の部分には1/2課税が適用されません。役員等の場合は平成24年度の税制改正(2013年分から適用)でさらに厳格に、勤続5年以下なら1/2課税が一切無効です。

例: 勤続3年・退職金500万円・退職所得控除120万円(40×3=120) の従業員。差引380万円のうち、300万円までは1/2課税で150万円、超過80万円は全額課税で80万円、合計230万円が課税退職所得です。

民間企業・公務員・役員で計算式はどう違う?

退職金の支給額計算は、所属組織で大きく異なります。

民間企業の退職金(就業規則・退職金規程依存)

民間企業の退職金は法律で義務付けられておらず、各社の就業規則・退職金規程で定めるかどうか・いくらにするかが決まります。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」では、退職金(一時金・年金)の制度がある企業は74.9%です。この割合には、中退共や確定拠出年金(企業型)で退職金を準備している企業も含まれます。

国家公務員の退職金(国家公務員退職手当法)

国家公務員の退職手当計算式

退職手当 = 退職日の俸給月額 × 退職理由別・勤続期間別支給率 + 調整額

支給率は勤続年数と退職理由で決まり、勤続35年以上の定年退職で最大47.709月分に達します(国家公務員退職手当法5条の割合の合計57月分に、附則の調整率83.7%を掛けた値)。内閣人事局の集計では、令和6年度に定年退職した国家公務員(常勤職員)の平均支給額は約2,160万円、そのうち行政職俸給表(一)の適用者は約2,149万円です。

出典: 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」(令和6年度・表1)、e-Gov法令検索「国家公務員退職手当法」

地方公務員の退職金(各自治体退職手当条例)

地方公務員も国家公務員に準じた算式ですが、自治体ごとの「退職手当条例」で支給率が微調整されています。所属自治体の人事課・総務課で確認可能です。

役員退職金(役員退職慰労金)

役員退職慰労金の標準計算式(功績倍率法)

役員退職慰労金 = 最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率(+功労加算)

功績倍率の目安: 代表取締役社長3.0、専務2.5、常務2.3、取締役2.0、監査役1.5。例: 最終報酬月額100万円・社長在任20年・功績倍率3.0なら、100万円 × 20 × 3.0 = 6,000万円が役員退職慰労金。ただし、税法上「不相当に高額な部分」は法人側の損金不算入となり、株主総会決議と相当性判定が必須です。役員勤続5年以下の場合は1/2課税が完全無効になる点に注意してください。

自己都合・会社都合で退職金はどう変わる?

退職金規程の多くは、退職事由により支給率(係数)を変えています。東京都の調査のモデル退職金(大卒)で比べると、自己都合は会社都合より少なく、会社都合に対する割合は勤続10年で78%、30年で97%でした。

勤続自己都合
(万円)
会社都合
(万円)
割合
10年112.5144.878%
15年209.3255.982%
20年346.8408.185%
25年507.3615.682%
30年750.7776.297%

出典: 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」図表8-1(割合は自己都合÷会社都合で、当サイトで計算)。懲戒解雇のときに退職金を払わない・減らすといった扱いや、死亡退職のときに遺族へ払う扱いも、会社の退職金規程で決まります(死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は相続税の対象)。

退職代行を使った場合の失業保険の扱いについては、失業保険 計算の完全ガイドもあわせてご覧ください。

中退共・建退共・特退共の退職金計算

中小企業の従業員や建設業労働者は、共済型の退職金制度に加入していることがあります。

中退共(中小企業退職金共済)

中小企業の従業員のための国の退職金制度。事業主が掛金(月額5,000〜30,000円の16段階)を全額負担。例: 掛金月額10,000円・30年(360月)納付なら、基本退職金は4,213,100円(納付月数43月以上では、運用の状況に応じて付加退職金が上乗せされることがあります)。中退共の退職金は、税法上は通常の退職金として退職所得控除・1/2課税が適用されます。

建退共(建設業退職金共済)

建設現場で働く労働者のための制度。掛金日額は320円(2021年の制度改正で310円から改定)。掛金日額320円から掛けはじめた人の退職金は、納付30年(360月)で3,148,656円、納付40年(480月)で4,449,648円です(共済証紙21日分を1か月として換算)。

出典: 中退共「基本退職金額表」、建退共「建退共の退職金について」(退職金額早見表)

特退共(特定退職金共済)

商工会議所・商工会・社団法人等が運営する民間の退職金共済制度。中退共と異なり加入できる業種・規模制限が緩く、月額掛金1,000〜30,000円で柔軟に設計できます。

退職所得の受給に関する申告書(出さないと高税金)

最重要:申告書を出さないと退職金の20.42%が源泉徴収される

退職金を受け取る前に勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと、退職所得控除・1/2課税が一切適用されず、退職金全額に一律20.42%(20%所得税+0.42%復興特別所得税)の源泉徴収が行われます。

勤続30年・退職金1,500万円の場合
区分提出あり提出なし
退職所得控除1,500万円0円(無効)
1/2課税適用無効
課税対象0円1,500万円
源泉徴収額0円約306.3万円
手取り1,500万円約1,194万円

未提出だと約306万円も多く源泉徴収されるため、必ず申告書を退職前に提出してください。提出忘れで源泉徴収された場合でも、翌年に確定申告で取り戻すことが可能です。

退職金をiDeCoと合算して受け取る場合の注意

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)を一時金で受け取ると、税金の上では退職金と同じ「退職所得」として扱われます。そのため、勤務先の退職金と受け取る年が近いと、退職所得控除が思ったより少なくなることがあります。

同じ年に受け取ると、控除は1つにまとめて計算する

同じ年に退職金とiDeCo・DCの一時金を受け取ると、収入は合算し、退職所得控除は2つの期間のうち長いほう(重なっていない期間があればそれを足した期間)を勤続年数として1つだけ計算します。iDeCo・DCの場合の「勤続年数」は、掛金を払っていた加入者期間です。

年をずらしても、次の年数の内なら控除が減る

期間が重なる分の控除が減る条件(所得税法施行令70条1項2号)
  • 退職金が先 → iDeCo・DCの一時金が後: 退職金を受け取った翌年から19年以内に一時金を受け取ると、期間が重なる分の控除が減ります。
  • iDeCo・DCの一時金が先 → 退職金が後: 一時金を受け取った翌年から9年以内に退職金を受け取ると、期間が重なる分の控除が減ります。対象は2026年1月1日以後に受け取った一時金で、2025年12月31日までに受け取った一時金は従来どおり4年以内です。

これまでは「iDeCoを60歳で一時金で受け取り、5年あけて65歳で退職金を受け取れば、両方の控除をそのまま使える」という「5年ルール」が知られていました。令和7年度の税制改正で、2026年1月1日以後に受け取る一時金からは「10年ルール」(翌年から9年以内は調整の対象)に変わり、すでに適用されています。2026年に60歳でiDeCoを一時金で受け取った人は、2035年までに受け取る退職金では、期間が重なる分の控除が減ります。

なお、先に受け取った退職金や一時金の額が、その分の退職所得控除額より少なかった場合は、重なる期間を額に応じて短く数えるため、控除の減り方は小さくなります(所得税法施行令70条2項)。

どの順番・どの年で受け取るのが有利かは、退職金と一時金の額、それぞれの期間の重なり方で変わります。迷う場合は、受け取りの手続きの前に税務署や税理士に確認してください。一時金ではなく年金で受け取る方法もあります(その場合は退職所得ではなく雑所得として、公的年金等控除の対象になります)。

出典: e-Gov法令検索「所得税法施行令」70条1項2号・69条1項2号・82条の2第2項6号、国税庁 タックスアンサー No.2735「同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」、国税庁 タックスアンサー No.1420(いずれも令和8年4月1日現在法令等)

退職金の金額や支払いに納得できない方へ

退職金は人生最大級のキャッシュインですが、就業規則どおりの金額が支払われない・支給日が守られないというトラブルは実際に起こります。退職金請求権には時効があるため、疑問を感じた時点で弁護士に確認しておくのが安全です。弁護士法人なら未払い分の請求まで一貫して対応できます。

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退職金が支払われないとき・請求手順と時効

退職金規程で支給条件を満たしているのに会社が支払わない場合、労働者は退職金を請求できます。退職金の請求権の時効は労働基準法第115条により5年で、就業規則で定めた支払時期など、請求できるようになった時から数えます。時効が近い場合は早めに動く必要があります。

退職金が支払われないときの段階的な請求手順
  • ①書面で請求 — 就業規則の退職金規程を根拠に、会社へ書面で支払いを求める
  • ②労働基準監督署に相談 — 就業規則に定めのある退職金の不払いについて相談する
  • ③弁護士による内容証明郵便 — 法的な請求として会社へ送付する
  • ④労働審判・訴訟 — 話し合いで解決しない場合の最終手段

なお、支給時期は就業規則の退職金規程に定められており、一般的には退職後1〜3ヶ月以内です。退職前に、就業規則に退職金規定があるか・最低勤続年数の条件を満たすかを確認しておくと、受け取りの見通しが立ちます。

よくある質問

Q1. 退職金はいくらもらえますか?

勤続年数・退職理由・会社の規模で大きく変わります。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」では、勤続20年以上かつ45歳以上で定年退職した大卒(管理・事務・技術職)の平均が1,896万円、勤続35年以上に限ると2,037万円。勤続20年未満は、東京都の調査の中小企業のモデル退職金(大卒・自己都合)が目安で、勤続10年112.5万円・20年346.8万円・30年750.7万円です。月給から見当をつけるなら早見表、税金と手取りは退職金 手取り計算シミュレーターで確認できます。

Q2. 退職金の計算式はどう決まりますか?

法定の計算式はなく、企業の就業規則・退職金規程で決まります。税法上の退職所得控除は、勤続20年以下=40万円×年数(最低80万円)、20年超=800万円+70万円×(年数-20)です。

Q3. 退職金にかかる税金はいくらですか?

退職所得控除を引いた額の1/2に所得税・住民税が課税されます。例えば勤続30年で2,000万円の場合、控除1,500万円を引いた500万円の1/2=250万円が課税退職所得。所得税と復興特別所得税で約15.6万円・住民税25万円、計約40.6万円が税金で、手取りは約1,959.4万円となります。

Q4. 勤続5年以下だと税金が高くなるって本当ですか?

本当です。令和3年度の税制改正(2022年分から適用)で短期退職手当等は退職所得控除後の300万円超部分が1/2課税対象外に。役員等の場合は1/2課税が完全無効です。

Q5. 公務員の退職金はどう計算しますか?

国家公務員は「退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給率+調整額」。定年・勤続35年以上で支給率最大47.709月分。内閣人事局の集計では、令和6年度に定年退職した常勤職員の平均支給額は約2,160万円です。

Q6. 役員退職金の計算方法は?

「最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」が標準。功績倍率に法令で決まった値はなく、社長3.0/専務2.5/常務2.3/取締役2.0/監査役1.5といった目安が実務で使われることがあります。

Q7. 退職所得の受給に関する申告書を出さないとどうなりますか?

退職所得控除も1/2課税も適用されず、退職金全額に一律20.42%の源泉徴収が行われます。1,500万円なら約306万円が源泉徴収。本来の税額との差額は確定申告で取り戻せますが、最初から申告書を提出しておくのが正解です。

Q8. 中退共の退職金はどう計算しますか?

掛金月額と納付月数で基本退職金が決まり、納付月数43月以上では付加退職金が上乗せされることがあります。掛金月額10,000円を30年(360月)納付した場合、基本退職金は4,213,100円です。

Q9. 退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると損ですか?

iDeCo・企業型DCの一時金も退職所得なので、同じ年に受け取ると退職金と合算され、退職所得控除は1つにまとめて計算します。年をずらしても、退職金を受け取った翌年から19年以内に一時金を受け取る場合と、一時金(2026年1月1日以後に受け取ったもの)を受け取った翌年から9年以内に退職金を受け取る場合は、期間が重なる分の控除が減ります。後者は2025年までの「5年ルール」が「10年ルール」に変わったもので、すでに適用されています(詳しくはこちら)。

Q10. 自己都合と会社都合で退職金額は変わりますか?

変わることが多いです。東京都の調査のモデル退職金(大卒)では、自己都合は会社都合の約78〜97%でした(勤続10〜30年・表)。差の大きさは会社の退職金規程で決まります。失業保険も、会社都合のほうが給付日数が長くなることがあります。

Q11. 退職金の支給時期はいつですか?

就業規則・退職金規程で定めた支払時期に支払われます。支払時期の定めがない場合は、請求した日から7日以内に支払う必要があります(労働基準法23条の扱い。群馬労働局の解説)。毎月の賃金のように「退職後7日以内」が必ず当てはまるわけではないので、まずは自社の退職金規程で支払時期を確認してください。

Q12. 退職金がない会社で働いていますが、自分で準備できますか?

iDeCo・小規模企業共済・NISA(つみたて投資枠)などで自助努力での準備が可能です。iDeCoは掛金が全額所得控除、運用益非課税、受取時は退職所得控除or公的年金等控除と税制優遇が手厚い設計。

Q13. 退職金の請求権に時効はありますか?

あります。労働基準法第115条により、退職金の請求権の時効は5年間です。数え始めるのは、就業規則で定めた支払時期など、請求できるようになった時です。時効が近い場合は早めに専門家へ相談してください。

Q14. 退職金が支払われない場合はどうすればいいですか?

段階的に対応します。①就業規則の退職金規程を根拠に書面で請求 → ②労働基準監督署に相談 → ③弁護士による内容証明郵便 → ④労働審判・訴訟、の順で進めるのが一般的です。支給条件を満たしているのに支払われない場合は、時効(5年)に注意して早めに動きましょう。

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退職金計算の手取り確認チェックリスト

退職金の計算は、①企業の退職金規程による支給額計算と、②国税庁の退職所得控除・1/2課税による税額計算の2階建てで行います。自分の手取り額を正確に把握したい方は、退職金 手取り計算シミュレーターで自動計算してください。

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