退職後の国民年金切り替え|14日過ぎたら?失業の特例免除も

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会社を辞めたあと、国民年金の切り替えを忘れたまま14日が過ぎてしまった人や、「手続きはいらない」という書き込みを見て迷っている人が多いはずです。
結論から書くと、退職後の国民年金への切り替えは、今も自分で届け出る必要があります。14日を過ぎても手続きはでき、保険料は資格取得月(退職日で決まる月)までさかのぼってかかります。日本年金機構は2025年6月30日更新の年金Q&Aで、退職した人は第1号被保険者として「自ら加入手続きを行っていただく」と答えています。
もうひとつ大事なのは、失業した人向けの「失業等による特例免除」は申請しないと始まらないことです。退職日によって申請できる期間と申請書の枚数が変わるため、この記事では退職月別の早見表と、免除した場合に将来の年金額がいくら変わるかを令和8年度の金額で示します。
- 切り替えは本当に必要か、14日を過ぎたらどうなるか
- 窓口・持ち物・離職票がないときの書類・マイナポータルでの届出
- 配偶者の分の切り替えと、扶養に入る場合の注意点
- 失業等による特例免除の根拠と、家族の所得の扱い
- 退職月別|特例免除を申請できる期間と申請書の枚数
- 免除の区分ごとに将来の年金額がいくら変わるか、追納のルール
切り替えは必要です。14日を過ぎても手続きできます
日本に住む20歳以上60歳未満の人で厚生年金に加入していない人は、全員が国民年金の第1号被保険者か第3号被保険者になります。会社を辞めて次の会社の厚生年金にすぐ入らない場合は、第2号から第1号への「種別変更」の届出を自分で行います。根拠は国民年金法12条1項と同法施行規則6条の2で、期限は「当該事実があつた日から十四日以内」です。日本年金機構は提出期限を「退職日の翌日から14日以内」と案内しています。
あなたの場合、会社を退職したことにより厚生年金保険に加入しなくなったことから、国民年金の第1号被保険者として自ら加入手続きを行っていただくこととなります。
日本年金機構 年金Q&A「会社を退職した場合は、国民年金に加入しなければならないのですか。」(2025年6月30日更新)
施行規則6条の2が本人の届出を不要にしているのは、就職して厚生年金に入る側(第2号になる変更)だけです。退職して第1号になる側は、届出の対象のままです。また、60歳未満でも厚生年金の老齢年金や共済組合の退職年金を受けている人は、国民年金に加入する必要はありません(同Q&A)。
14日を過ぎたら:届出はでき、資格取得日にさかのぼります
14日を過ぎても届出ができなくなるわけではありません。資格は届出をした日ではなく退職日の翌日に切り替わっているため、遅れて届け出ても、その月分からの保険料を納めることになります。日本年金機構は、加入手続きが遅れた人には「届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)」が届く場合があるとしています。
届出をしないまま放っておいても、保険料がかからなくなるわけではありません。日本年金機構の年金Q&Aは次のように書いています。
なお、国民年金の被保険者となるべき方で未届の場合は、日本年金機構で加入処理を行い、保険料の納付を催告することがあります。
日本年金機構 年金Q&A「『届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)』が送られてきたのですが、どうしてですか。」
届出の義務に違反した場合の罰則規定も、国民年金法にあります。
第十二条第一項又は第五項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者は、三十万円以下の罰金に処する。ただし、同条第二項の規定によつて世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。
国民年金法 第113条
ただ、遅れた人に実際に生じる負担は、さかのぼってかかる保険料と、納めなければ残る未納期間です。気づいた時点で届け出て、払えない場合はあわせて免除を申請するのが、損を最小にする順番です。
- 保険料を徴収する権利は、納付期限から2年で時効により消滅します(国民年金法102条4項)。2年を過ぎた月分は納められず、未納のまま残ります
- 未納の期間は年金額に反映されず、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)にも数えられません
- 病気やけがで障害が残ったとき、未納があると障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れない場合があります。日本年金機構は「不慮の事故や病気が発生してから、過去にさかのぼって申請を行っても、障害基礎年金の保険料納付要件に算入されません」としています
切り替えの手続き|窓口・持ち物・離職票がないとき
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| いつまでに | 退職日の翌日から14日以内(国民年金法施行規則6条の2) |
| どこで | 住所地の市区役所・町村役場の国民年金窓口。マイナポータルからの電子申請もできます |
| 提出するもの | 国民年金被保険者関係届書(申出書) |
| 持ち物 | 基礎年金番号通知書または年金手帳など基礎年金番号がわかる書類、もしくはマイナンバーカード。退職直後の手続きでは、厚生年金の資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合があります |
| 届け出る人 | 本人または世帯主(国民年金法12条2項) |
出典は日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」(2025年9月11日更新)です。
離職票がまだ届かないときは、資格喪失日がわかる別の書類で
切り替えの届出に離職票は必須ではありません。日本年金機構は「資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合があります」と書いているだけで、書類は市区町村が案内しています。たとえば大阪市は、次の書類のどれかを持って区役所で手続きするよう案内しています。
健康保険・厚生年金保険の資格喪失日や離職日が記載されている書類(健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書、離職票、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知、退職証明書 等)
大阪市「就職・退職に伴う国民年金の手続き」
使える書類は市区町村によって違うことがあるため、離職票を待たずに手続きしたい場合は、手元にある書類で足りるかを住所地の窓口に確認してください。離職票そのものが届かない場合の対処は離職票が届かないときの対処法にまとめています。
マイナポータルで届出も免除申請もできます
日本年金機構の「個人の方の電子申請(国民年金)」(2026年10月1日更新)は、国民年金被保険者の資格取得(種別変更)の届出と、国民年金保険料免除・納付猶予申請を電子申請できる手続きとして挙げています。電子申請にはマイナポータルの開設が必要です。窓口に行かずに、切り替えと免除申請を続けて済ませることもできます。
国民年金になる最初の月は、退職日で決まります
種別が変わった月は、変更後の種別の月として扱われます(国民年金法11条の2)。日本年金機構の例では、3月末に辞めた人は4月1日から、4月15日に辞めた人は4月16日から第1号被保険者になり、どちらも4月分の保険料から納めます。
- 月末に退職 — 退職月までは厚生年金。翌月分から国民年金(例:8月31日退職なら9月分から)
- 月の途中で退職 — 退職した月の分から国民年金(例:8月15日退職なら8月分から)
どちらになるかは退職日で決まり、手続きをした時期では変わりません。令和8年度の保険料は月17,920円で、令和7年度の17,510円から410円上がっています。
すぐ再就職する場合も、間が空けば手続きが要ります
日本年金機構は、2か月後に再就職する予定の人について、再就職までの間は第1号被保険者になるので加入の手続きをするよう答えています。3月31日に辞めて4月16日に入社した例では、4月分の国民年金保険料はかかりませんが、4月1日の第1号の資格取得の手続きは必要とされています。月の途中で次の会社の厚生年金に入れば、その月は厚生年金の月になるためです。再就職先で厚生年金に入るときの届出は、会社が行います。
配偶者が第3号だった場合は、配偶者の分も切り替えます
あなたが厚生年金に入っていた間、配偶者があなたの扶養(国民年金第3号被保険者)だった場合、あなたの退職と同時に配偶者も第3号の資格を失い、第1号への切り替えが必要になります(日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」)。届出は配偶者の分も退職日の翌日から14日以内に市区町村で行い、配偶者の分にも月17,920円の保険料がかかります。横浜市は、扶養している20歳以上60歳未満の配偶者がいる場合は配偶者の基礎年金番号通知書・年金手帳等も持参するよう案内しています。
配偶者も免除を申請できます。ただし配偶者が申請する場合、配偶者自身の前年所得は通常の基準で審査されます。失業したあなたは、配偶者から見た世帯主・配偶者として、失業の特例に当たれば所得要件を満たすことになります。あなたの離職票などのコピーをどう添えるかは、申請先の窓口で確認してください。
自分が配偶者の扶養に入る場合
あなたが会社員・公務員の配偶者の扶養に入れる場合は、第3号被保険者になり、自分で保険料を納める必要はありません。手続きは配偶者の勤務先を通して行います。
失業手当を受け取る人は、扶養に入れる時期に注意が必要です。日本年金機構(協会けんぽの扶養の手続き)は、雇用保険の待期期間中でも収入要件を満たしていれば被扶養者として認定できる一方、基本手当(日額3,612円以上)の支給が始まった場合は扶養削除の届出が必要だとしています。給付制限期間中の扱いや、健康保険組合の扶養の基準は保険者によって違うため、配偶者の加入先に確認してください。扶養から外れた期間は、第1号として自分で保険料を納めます。
失業等による特例免除|前年所得を問わない根拠
国民年金の免除は、本来は本人・世帯主・配偶者の前年所得が基準以下であることが条件です(国民年金法90条1項1号・同項ただし書)。退職した年は前年に給与があるため、通常の基準では免除にならないことが多くなります。そこで使うのが失業等による特例免除です。
- 国民年金法90条1項4号 — 「保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき」に免除できる
- 同法施行規則77条の7第2号 — その事由として、免除を受けようとする期間の属する年またはその前年(期間に1月から6月の月が含まれる場合は前々年まで)に「失業等により保険料を納付することが困難と認められるとき」を定めている
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月3日更新)
免除は、全額免除が国民年金法90条1項、一部免除が90条の2で、どちらも「申請があつたときは」と定められています。失業したからといって自動で免除になることはなく、申請して承認されて初めて免除になります。
外れるのは本人の前年所得だけ。世帯主・配偶者の審査は残ります
特例で審査から外れるのは、失業した本人の前年所得です。日本年金機構は「世帯主や配偶者がいる方は、世帯主や配偶者が所得要件を満たしているか、失業等の特例に該当している必要があります」と書いています。配偶者に一定以上の所得がある人や、所得のある親が世帯主の家に住んでいる人は、本人が失業していても全額免除にならないことがあります。免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4段階で、どれになるかは審査で決まります。
審査のために本人・配偶者・世帯主の前年(または前々年)の所得を確認するため、このうち税の申告(確定申告や年末調整)をしていない人がいると、先に市区町村民税の申告が必要です(日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」)。
自己都合退職でも、失業手当の受給中でも申請できます
施行規則77条の7は「失業等により保険料を納付することが困難と認められるとき」と定めているだけで、離職理由の条件はありません。国民健康保険料の軽減は離職理由コードで対象が絞られますが、年金の特例免除は別の仕組みです。
失業手当(基本手当)は、雇用保険法12条により「租税その他の公課」の対象になりません。失業手当は免除の審査で見る所得に入らないため、受給中であることや金額は免除の可否に影響しません。ただし健康保険の扶養の判定では、日本年金機構が「被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付…も含まれます」としているとおり、失業手当を収入に数えます。年金の免除とは別の話です。
退職月別|特例免除を申請できる期間と申請書の枚数
特例免除を申請できるのは「失業等の前月」から「翌々年6月分」までです。日本年金機構は「失業した日は離職日の翌日です。12月31日に離職したときは翌年が失業等の事由が発生した年となります」としています。免除の年度は7月から翌年6月までで、申請書は1年度に1枚必要です。
この期間を年度で区切ると、失業日(退職日の翌日)が7〜12月なら2年度分、1〜6月なら3年度分の申請書が必要です。12月31日に辞めた人は失業日が翌年1月1日なので、3年度分になります。8月31日に辞めた場合の流れは次のとおりです。
2026年に月末で退職した場合を、退職月ごとに並べると次のとおりです。1日違いで辞めた人どうしでも、特例免除の対象になる月数は最大11か月違います。12月30日に辞めた人は失業日が12月31日なので2028年6月分まで(12月分から19か月)、12月31日に辞めた人は失業日が翌年1月1日なので2029年6月分まで(30か月)です。月末退職どうしでは、11月30日に辞めた人がいちばん短く(19か月)、12月31日に辞めた人がいちばん長く(30か月)なります。日本年金機構の申請可能期間の表をもとに、当編集部で数えました。
| 退職日(2026年) | 国民年金になる最初の月 | 特例免除の最後の月 | 申請書(年度) | 対象の月数 |
|---|---|---|---|---|
| 1月31日 | 2026年2月 | 2028年6月 | 3枚(令和7・8・9年度) | 29か月 |
| 2月28日 | 2026年3月 | 2028年6月 | 3枚(令和7・8・9年度) | 28か月 |
| 3月31日 | 2026年4月 | 2028年6月 | 3枚(令和7・8・9年度) | 27か月 |
| 4月30日 | 2026年5月 | 2028年6月 | 3枚(令和7・8・9年度) | 26か月 |
| 5月31日 | 2026年6月 | 2028年6月 | 3枚(令和7・8・9年度) | 25か月 |
| 6月30日 | 2026年7月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 24か月 |
| 7月31日 | 2026年8月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 23か月 |
| 8月31日 | 2026年9月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 22か月 |
| 9月30日 | 2026年10月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 21か月 |
| 10月31日 | 2026年11月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 20か月 |
| 11月30日 | 2026年12月 | 2028年6月 | 2枚(令和8・9年度) | 19か月 |
| 12月31日 | 2027年1月 | 2029年6月 | 3枚(令和8・9・10年度) | 30か月 |
- 日本年金機構の表は期間を「失業等の前月」から数えています。会社員だった人の場合、失業日(退職日の翌日)の前月は厚生年金の月なので、国民年金の保険料はかかりません。表は国民年金になる最初の月から数えています
- 月の途中で辞めた人は、辞めた月が国民年金になる最初の月です。たとえば8月15日退職なら最初の月は8月で、7月31日退職の行と同じ期間・枚数になります
- 令和9年度分(2027年7月〜2028年6月分)など先の年度の申請書は、その年度の7月になってから出せます
- 対象の月数は、その間ずっと無職だった場合の最大です。再就職して厚生年金に入れば、その月からは国民年金の保険料はかかりません
- 失業等による特例免除で承認された人も、翌年度の分はあらためて申請が必要です(日本年金機構)
さかのぼって申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前までの期間)です。たとえば令和6年9月分の免除申請期限は令和8年10月30日(金)です(日本年金機構の申請期限の表)。また、失業等の事由で免除を申請したのに、申請が遅れたために特例免除が認められなかった場合も、あらためて申請できる場合があると日本年金機構は案内しています。年金事務所に相談してください。
必要書類:手続きの前なら離職票、後なら受給資格者証のコピー
雇用保険に入っていた人は、雇用保険被保険者離職票のコピー、または雇用保険受給資格者証・雇用保険受給資格通知のコピーを申請書に添えます。失業手当の手続きの前なら離職票のコピー、ハローワークで手続きした後なら受給資格者証・受給資格通知のコピーで申請できます。離職票はハローワークに提出する前にコピーを取っておくと、あとで使えます。
- 同じ失業について、過去に書類を添付して申請したことがあれば、2年度目以降の申請で再び添付する必要はありません
- これらの書類を用意できない場合は、公的機関が交付する証明書など失業の事実が確認できる書類も使えます。この場合は、失業の状態にあることの申し立てを別に書式で行います(日本年金機構)
- 申請先は住所地の市区町村の国民年金窓口か年金事務所です。郵送でも出せ、マイナポータルからの電子申請もできます
免除すると将来の年金はいくら減るか(令和8年度の金額で計算)
免除は「払わなくてよい」制度ではなく、免除された部分は国庫負担分だけが年金額に反映される制度です。国民年金法27条は、老齢基礎年金の額を計算するとき、全額免除の期間は2分の1、4分の3免除は8分の5、半額免除は8分の6、4分の1免除は8分の7として数えると定めています(平成21年4月以降の期間)。一部免除では、納めた分も年金額に反映されます。一方、未納の期間は年金額に反映されず、受給資格期間にも入りません。
令和8年度の老齢基礎年金の満額は年847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれ・40年=480か月納付の場合)。1か月分の価値は847,300円÷480か月で約1,765円、12か月分で年約21,183円になります。これをもとに、12か月を各区分で過ごした場合の将来の年金額(年額)を当編集部で計算しました。
| 区分 | 納める額(月) | 反映率 | 12か月分の年金額(年額) | 全額納付との差(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 全額納付 | 17,920円 | 1 | 約21,183円 | ― |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 8分の7 | 約18,535円 | 約2,648円 |
| 半額免除 | 8,960円 | 8分の6 | 約15,887円 | 約5,296円 |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 8分の5 | 約13,239円 | 約7,943円 |
| 全額免除 | 0円 | 2分の1 | 約10,591円 | 約10,591円 |
| 未納 | 0円 | 0 | 0円 | 約21,183円 |
- 年金額は、12か月分の価値21,182.5円(847,300円÷480×12)に反映率を掛けて1円未満を四捨五入しています。差も同じ21,182.5円から計算しています
- 12か月分の納付額は、全額納付215,040円・4分の1免除161,280円・半額免除107,520円・4分の3免除53,760円です
- 免除後の保険料額は日本年金機構の公表額(令和8年度)です。年金額は毎年度改定されるため、実際に受け取る額は受給時の改定によります
- 一部免除(4分の3・半額・4分の1)は、減額された保険料を納めていることが条件です。納めないと、その期間は未納と同じ扱いになります
退職後12か月を全額免除で過ごすと、将来の老齢基礎年金は年約10,591円少なくなり、65歳から20年受け取れば約21万円、25年なら約26万円の差です。日本年金機構も「1年間分追納すると、全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円増えます」と案内しており、表の計算と合います。
同じ12か月を未納にすると差は年約21,183円になり、受給資格期間にも数えられません。さらに、免除・納付猶予の期間中に病気やけがで障害が残ったり亡くなったりした場合は、一定の要件を満たせば障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れますが、未納のままだと受け取れない場合があります。納められる人は納付、難しい人は免除を申請し、未納のまま放置しないことが大事です。
追納で取り戻せるのは10年以内。3年度目から加算がつきます
免除した期間の保険料は、あとから納めて年金額を満額に近づけられます(追納・国民年金法94条)。再就職して収入が戻ったあとに使うのが一般的です。
- 追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除期間です(法94条1項)。老齢基礎年金を受け取れる人は追納できません
- 免除を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料額に加算額が上乗せされます(法94条3項・国民年金法施行令10条)。令和8年度中に令和6年度・令和7年度の月分を追納する場合は加算がなく、令和7年度の月分は17,510円です
- 一部免除の期間は、減額後の保険料を納めていないと追納できません(法94条1項ただし書)
- 追納は原則として古い月分から順に行います(法94条2項)。免除の期間と、納付猶予・学生納付特例の期間の両方がある人は、納める順序を年金事務所に相談してください
- 追納した保険料は社会保険料控除の対象です
- 申込先は年金事務所で、窓口か郵送で申し込みます。街角の年金相談センターでは手続きできません。ねんきんネットで申込書を作れますが、電子申請ではないため、印刷して年金事務所に出します
- 申し込むと日本年金機構から納付書が届き、納付書で納めます。口座振替・クレジットカードでは納められません
納付猶予の期間は、追納すると年金が年約2万円増えると日本年金機構は案内しています(1年分を追納した場合)。加算がつかないうちに追納すれば当時の額のまま納められるため、免除の承認通知は捨てずに保管しておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職後、国民年金の切り替えをしないとどうなりますか?
A. 国民年金の資格は届出をしなくても退職日の翌日に切り替わっているため、保険料はその月分からかかります。日本年金機構は、未届の人について機構で加入処理を行い、保険料の納付を催告することがあると案内しています。納めないまま納付期限から2年が過ぎると、その月分は時効で納められなくなり(国民年金法102条4項)、未納として残ります。未納の期間は年金額に反映されず、障害基礎年金を受け取れない原因にもなります。
Q. 14日を過ぎてしまいました。今から手続きできますか?
A. できます。14日を過ぎても届出は受け付けられます。資格は届出の日ではなく退職日の翌日に切り替わっているため、遅れた期間の保険料もかかります。気づいた時点で市区町村の窓口かマイナポータルで届け出てください。国民年金法113条には届出をしなかった被保険者への罰則規定がありますが、実際に起きる負担は、さかのぼってかかる保険料と、納めなければ残る未納期間です。
Q. 失業手当をもらっている間も、国民年金の免除を申請できますか?
A. 申請できます。免除の審査は前年の所得で行い、失業手当は雇用保険法12条により租税その他の公課の対象にならないため、所得に入りません。失業等による特例免除は、離職票や受給資格者証のコピーで失業の事実を確認できれば、本人の前年所得を問わずに審査されます。ただし世帯主・配偶者の所得審査は残ります。
Q. 自己都合退職でも、失業の特例免除は使えますか?
A. 使えます。国民年金法施行規則77条の7第2号は「失業等により保険料を納付することが困難と認められるとき」と定めているだけで、離職理由の条件を置いていません。日本年金機構の案内も離職理由を条件にしていません。離職票または受給資格者証のコピーを添えて申請します。
Q. 免除を申請すれば、払わなくても年金は満額もらえますか?
A. もらえません。全額免除の期間は、保険料を全額納めた場合の2分の1として年金額に反映されます(国民年金法27条)。12か月を全額免除にすると、令和8年度の満額で計算して老齢基礎年金は年約10,591円少なくなります。満額に近づけるには、10年以内に追納する必要があります。
Q. 納付猶予と免除は何が違いますか?
A. 年金額に反映されるかどうかが違います。納付猶予は20歳以上50歳未満の人が対象で、本人と配偶者の所得で審査されます。受給資格期間には数えられますが、年金額には反映されません。免除は区分に応じて2分の1から8分の7が年金額に反映されます。どちらも10年以内なら追納できます。
退職後の国民年金で、今日やること
- まだ切り替えていないなら、今日届け出る — 14日を過ぎていても受け付けられます。市区町村の窓口かマイナポータルで。離職票がなければ、資格喪失日がわかる別の書類で足りるか窓口に確認します
- 配偶者が第3号だったなら、配偶者の分も同時に — 忘れると配偶者の分だけ未納になります
- 払うのが難しいなら、切り替えと同時に特例免除を申請する — 上の表で自分の退職月の行を見て、申請書が何枚要るか、次の年度分をいつ出すかを控えます
- 健康保険と住民税も期限を確認する — 健康保険の選び方は退職後の社会保険の手続き、住民税の納付書が届く時期は退職後の住民税の納付書はいつ届くかにまとめています
- 失業手当の額と日数を試算する — 年齢・加入期間・退職前の給与がわかれば失業保険計算シミュレーターで計算できます。無収入の期間の出費全体は転職先が決まってない退職|空白期間の出費と手続きで整理しています
国民年金は、届け出なくても資格と保険料は退職日の翌日から動いています。止められるのは自分の届出と申請だけです。切り替えと免除申請を一緒に済ませ、承認通知は追納のときまで保管してください。
出典一覧(2026年10月1日確認)
- e-Gov法令検索「国民年金法」(第7条、第11条の2、第12条、第27条、第90条、第90条の2、第94条、第102条第4項、第113条)
- e-Gov法令検索「国民年金法施行規則」(第6条の2、第77条、第77条の7第2号)
- e-Gov法令検索「国民年金法施行令」(第10条 追納の加算)
- e-Gov法令検索「雇用保険法」(第12条 公課の禁止)
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」(提出期限・持ち物・届出が遅れた場合)
- 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」(月末・月中退職の資格取得日、再就職の例、配偶者の第3号資格喪失)
- 日本年金機構 年金Q&A「会社を退職した場合は、国民年金に加入しなければならないのですか。」
- 日本年金機構 年金Q&A「『届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)』が送られてきたのですが、どうしてですか。」
- 日本年金機構 年金Q&A「会社を退職後、2か月後に再就職する予定です。」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(国民年金)」(種別変更の届出・免除申請の電子申請)
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度 月額17,920円)
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(失業等による特例免除・必要書類・免除後の保険料額・未納の影響)
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」(年度=7月〜翌6月・特例免除の申請可能期間・申請期限)
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(10年以内・3年度目以降の加算・申込先・納付方法)
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」(令和8年度の満額847,300円)
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(待期期間中の扶養認定・基本手当日額3,612円)
- 大阪市「就職・退職に伴う国民年金の手続き」(資格喪失日がわかる書類の例)
- 横浜市「会社を退職しましたが、年金の手続きには何が必要ですか。」(配偶者の書類)
※制度は改正されることがあります。免除の可否・区分は日本年金機構の審査によります。年金額の差は、上記の公的資料の数値から当編集部が計算した参考値です。手続きは住所地の市区町村の国民年金窓口または年金事務所でご確認ください。



