休職は何回まで?通算規定で決まる残り日数

休職の回数制限と就業規則の通算規定による残り日数の決まり方の解説

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休職の回数を決めている法律は存在しません。労働基準法にも健康保険法にも、休職を何回まで認めるかという条文はありません。決めているのは自社の就業規則です。

この記事が想定しているのは、一度復職したものの体調が戻らず、もう一度休むしかないと感じている場面です。「2回目は無理と言われるのではないか」という不安の正体は、回数ではなく残り日数にあります。就業規則に通算規定があるかどうかで、同じ2回目でも使える日数が数倍変わるからです。

もう一つ、この記事で必ず切り分けるのが「通算」という言葉です。会社の休職期間の通算と、傷病手当金の通算1年6か月は、根拠も期間の数え方も別の制度です。この2つを混ぜたまま考えると、まだ余裕があると思っていた期間が突然尽きます。

このページでわかること
  • 休職の回数に上限がない理由を、労働基準法第89条第10号の条文で示す
  • 就業規則の休職期間と傷病手当金の「通算」がどう違うかの比較表
  • 1回目に使った日数別に、2回目で使える残り日数を計算した試算表
  • 通算されるかリセットされるかを分ける判断フロー
  • 自分の就業規則の休職条文で確認すべき5項目と、見せてもらう法的根拠
  • 休職期間が尽きたあとに何が起きるか

結論|回数に法律の上限はなく、決めているのは就業規則です

休職制度そのものが法律上の義務ではありません。法律が求めているのは「制度を置くなら就業規則に書きなさい」ということだけです。回数も期間も、会社が自由に設計できます。

前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

労働基準法 第89条第10号

この条文は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対し、就業規則を作成して行政官庁に届け出るべき事項を並べた第89条の最後に置かれています。「定めをする場合においては」という書き方が重要です。休職制度は定めても定めなくてもよく、定めたときだけ記載義務が生じます。

だから「休職は何回まで」を検索しても法律上の答えは出てきません。答えがあるのは自社の就業規則の中だけです。そして就業規則の書き方には、回数を制限する型と、日数を通算する型の2つがあります。この記事で主に扱うのは後者です。回数を数えていない分だけ、結論が読みにくいからです。

回数制限型より通算型のほうが厳しく効きます

回数制限型は「休職は同一の傷病につき2回を限度とする」のように書かれます。わかりやすい代わりに、1回目が短ければ2回目も満額使えます。一方の通算型は、回数を数えずに日数だけを合算するため、1回目が長引いた人ほど2回目の余地が小さくなります

同じ「2回目の休職」でも、就業規則の型が違えば結論が逆になります。自分の会社がどちらの型かを先に確かめないまま復職日を決めると、想定より早く期間が尽きます。休職から退職までの全体像は退職代行は休職中でも使える|傷病手当金を守る辞め方で整理しています。

「通算」は2種類あります|就業規則と傷病手当金を徹底比較【2026年版】

休職の話で出てくる「通算」には、まったく別の2つがあります。会社が決める休職期間の通算と、法律が決める傷病手当金の通算です。この2つは根拠も上限も、期間の数え方も一致しません。

傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して一年六月間とする。

健康保険法 第99条第4項

条文にある「通算して」は、支給を受けた日だけを足していくという意味です。復職して働いた期間は支給を受けていないため、この1年6か月にはカウントされません。全国健康保険協会も傷病手当金のページで「支給を開始した日から通算して1年6か月です」と案内しています。

比較する軸休職期間の通算傷病手当金の通算
決めているもの会社の就業規則法律(全国一律)
根拠条文労働基準法第89条第10号(記載義務のみ)健康保険法第99条第4項
上限会社ごとに違う(就業規則で定める)通算1年6か月
通算される条件規則の書き方次第(「復職後6か月以内の同一・類似傷病」等)同一の疾病または負傷、およびこれにより発した疾病
規定がない場合リセットされる法律なので必ず適用される
復職して働いた期間通算のトリガー期間として数える支給を受けていないのでカウントしない
尽きたときに起きること休職期間満了として自然退職または解雇の対象になる支給が終わる(在籍そのものには影響しない)

表の最後の行が、この記事で最も見落とされている点です。傷病手当金が尽きても会社に在籍し続けられますが、休職期間が尽きると在籍そのものが終わります。生活費の心配から傷病手当金の残りだけを見ていると、先に切れるほうを見落とします。

休職期間の上限が1年6か月より短い会社では、休職期間のほうが先に尽きます。どちらが先に尽きるかは、自社の上限日数を見ないと判断できません。休職中の収入の全体像は休職中に給料が出ないときの生活費|制度4つと申請先、退職後も傷病手当金を受け取り続ける条件は傷病手当金は退職後も受給できる?4条件と申請手順で扱っています。

回数ではなく残り日数で尽きます|再休職で使える日数の試算表

通算規定がある会社では、2回目に使える日数は引き算で決まります。「何回目か」は結論に関係しません。関係するのは、1回目に何日使ったかです

この試算表の前提(この条件でのみ成立する数字です)
  • 就業規則の休職期間の上限:180日(勤続3年以上の区分を想定)
  • 通算規定:「復職後6か月以内に同一または類似の傷病により再び休職するときは、前後の休職期間を通算する」
  • 1回目の休職は上記の期間内に終わり、いったん復職しているものとします
  • 実際の日数と条件は自社の就業規則の数字に置き換えてください。ここは計算の型を示すための例です
1回目に使った日数復職6か月以内に再休職(通算される)復職6か月超で再休職(リセットされる)
30日150日180日30日
60日120日180日60日
120日60日180日120日
170日10日180日170日
180日(使い切り)0日(再休職できず満了扱い)180日180日

表の最終行が、通算規定の怖さです。1回目で上限を使い切った人が6か月以内に再発すると、2回目の休職に入れる日数がゼロになります。休職を命じられないまま欠勤が続けば、就業規則の定めに従って満了または解雇の手続きへ進みます。

逆に読むと、復職から通算のトリガー期間を過ぎるかどうかが、日数を左右する最大の分岐です。この例で1回目に120日使った人の場合、6か月以内の再休職なら60日、6か月を1日でも過ぎれば180日と、3倍の差がつきます。

「早く復職したほうが得」とは限りません

主治医が慎重な判断をしているのに無理に復職を早めると、通算規定のある会社では二重に不利になります。復職が早いほど再発も早くなりやすく、再発が早いほど通算のトリガー期間に収まるからです

判断材料は気持ちではなく日数です。就業規則に書かれたトリガー期間(3か月なのか6か月なのか)と、上限日数の残りを紙に書き出してから復職日を決めてください。休職を続ける場合と退職する場合の金額差は休職と退職はどっちが得?お金で徹底比較で試算しています。休職中も社会保険料の負担は続くため、休職中の社会保険料|支払い方法と実額早見表もあわせて確認してください。

1回目の休職日数から2回目に使える残り日数を計算して確認する場面

通算されるかリセットされるかの判断フロー

自分がどちらになるかは、3つの質問で決まります。順番に答えていけば、2回目の休職で使える日数が確定します

2回目の休職で使える日数の判定Q1 就業規則に休職期間の通算規定はありますかないリセット上限日数をそのまま使える労働契約法第7条あるQ2 今回の傷病は前回と同一または類似ですか別の傷病原則リセットただし規則の文言を確認診断書の記載が判断材料同一・類似Q3 復職から規則の定める期間(例:6か月)以内ですか超えたリセット1日でも超えれば通算されない復職日の記録が決め手以内通算される使えるのは「上限日数 − 1回目に使った日数」残りが0日なら休職に入れず満了扱いになるどの結論でも、傷病手当金の通算1年6か月は別に進みます健康保険法第99条第4項。会社の就業規則では変えられず、支給を受けた日だけを足していく休職期間が残っていても、傷病手当金だけ先に尽きることがある
3つの質問のうち、自分で記録を残せるのはQ3の復職日です。復職日と再休職の申し出日が争いになると、通算されるかどうかがそこで決まります

Q2の「同一または類似」は、病名の一致では決まりません。うつ病から適応障害へ、あるいは不安障害へと診断名が変わっても、経過として連続していれば同一の傷病と扱われる場合があります。診断書に前回からの経過をどう書いてもらうかが実務上の分かれ目です。

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自分の就業規則で確認する5項目|見せてもらう権利は労働基準法第106条にあります

ここまでの判定は、すべて就業規則の実物がないと進みません。そして就業規則を労働者に見せるのは、会社の義務です

使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。

労働基準法 第106条第1項

この義務に違反した場合の罰則は、義務を定めた条文とは別の場所にあります。労働基準法第120条第1号が、第106条を含む複数の条文の違反に対して30万円以下の罰金を定めています。休職中で出社できない場合は、人事あてのメールで「就業規則の休職に関する条項の写しをいただけますか」と依頼すれば足ります。

休職の条文で見るべき5項目

条文が手に入ったら、次の5点だけを拾います。この5つが埋まれば、2回目に使える日数は計算できます

  • ① 上限日数(勤続年数で変わるか) — 「勤続3年未満は90日、3年以上は180日」のように勤続年数で区分している会社があります。自分がどの区分かで残り日数が変わります
  • ② 通算規定の有無 — 「通算する」「前後の休職期間を合算する」という語があるかを探します。なければリセットです
  • ③ 通算のトリガー期間 — 「復職後3か月以内」「6か月以内」など、どれだけ働けばリセットされるかの日数です。試算の分岐点になります
  • ④ 傷病の範囲の書き方 — 「同一の傷病」だけか「同一または類似の傷病」までか。「類似」が入っていると、病名が変わっても通算されます
  • ⑤ 起算日と満了時の扱い — 休職期間がいつから数え始めるか(欠勤何日目からか)と、満了時が「自然退職」か「解雇」かです。この違いは離職票の記載に影響します

⑤が「自然退職」となっている場合は、会社からの意思表示なしに在籍が終わります。解雇ではないため解雇予告手当は発生せず、就業規則の定めによって在籍が終わります。満了後の手続きは休職期間満了の退職|自然退職と失業保険の全手順で扱っています。

休職したあとに通算規定を作られた場合

自分が休職に入ったあとで会社が就業規則を変更し、通算規定を新設するケースがあります。この変更が自動的にあなたに適用されるわけではありません

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

労働契約法 第9条

例外は同法第10条で、変更後の就業規則を周知させ、かつ労働者の受ける不利益の程度・労働条件の変更の必要性・変更後の内容の相当性・労働組合等との交渉の状況などに照らして合理的である場合に限られます。まず確認するのは、就業規則の改定日と自分の休職開始日のどちらが先かです

休職期間が尽きたあとに起きること

残り日数がゼロになったとき、会社が取る対応は大きく3つです。どれになるかは就業規則の書き方で決まっており、その場の交渉で変わるものではありません

パターン1|自然退職(就業規則にそう書かれている場合)

手続きが最も短い形です。「休職期間が満了しても復職できないときは、期間満了の日をもって退職とする」という条文があると、手続きは自動的に進みます。解雇ではないため解雇予告も予告手当もなく、退職日は満了日そのものになります

この場合でも傷病手当金は終わりません。健康保険法第104条は、資格喪失の日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことなどの要件を満たす人に、退職後も継続して支給すると定めています。要件の中身は退職代行と傷病手当金|退職後の継続受給5条件と申請方法で条文ごとに整理しています

パターン2|復職を前提とした話し合いが続く

通算規定がなく期間もまだ残っている場合、会社は復職の可否をめぐる面談を重ねます。主治医の診断書に加えて産業医の意見を求められるのが通常の流れです。復職可の診断書が出ても、会社が従前の職務を通常程度に遂行できないと判断すれば復職は認められません。

パターン3|期間が残っているのに退職を勧められる

休職期間が残っているにもかかわらず退職を勧められた場合、それは会社からの提案であって、応じる義務はありません。退職届にサインしなければ退職は成立しません。まず就業規則で残り日数を確認し、日数が残っているのかを数字で確かめてください。

再休職の話し合い自体が負担なときの選択肢

残り日数を計算した結果、もう会社に戻る道を選ばないと決める人もいます。その段階で問題になるのは法律の解釈ではなく、体調が悪いまま会社と何度もやり取りしなければならないことです。窓口を自分から切り離す方法が2つあります。

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休職期間は尽きかけているが傷病手当金の通算1年6か月はまだ残っている、という状態の人に向いています。この状態で必要なのは、退職日を健康保険の資格喪失日から逆算して決めることと、退職までのやり取りを自分でしないことの2つです。日付の調整が入るため、意思を伝えるだけの業者では足りません。

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よくある質問(FAQ)

Q. 休職は法律で何回までと決まっていますか?

A. 決まっていません。休職の回数や期間を定めた法律はありません。労働基準法第89条第10号は「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」を就業規則に記載するよう求めているだけです。休職制度を置くかどうかも、置いた場合に何日にするかも会社が決めます。回数を知りたいときに読むべきなのは法律ではなく自社の就業規則です。

Q. 就業規則に通算規定がない場合、休職期間はリセットされますか?

A. リセットされます。労働契約法第7条は、使用者が合理的な労働条件を定めた就業規則を労働者に周知させていた場合、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとすると定めています。労働条件の中身は就業規則に書かれた範囲で決まるため、前回の休職期間を差し引くという定めが書かれていなければ、差し引く根拠がありません。2回目の休職も規定の期間をそのまま使えます。

Q. 傷病手当金も会社の休職期間と一緒に通算されますか?

A. 別々に数えます。健康保険法第99条第4項は「傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して一年六月間とする」と定めています。こちらは法律なので全国一律で、会社の就業規則では変えられません。休職期間の上限が180日の会社では、その180日を使い切っても通算1年6か月にはまだ残りがあります。逆に、過去に同じ傷病で長く受給していれば、休職期間が残っていても傷病手当金だけ先に尽きます。

Q. 病名が違えば通算されずに済みますか?

A. 病名だけでは決まりません。多くの就業規則は通算の条件を「同一または類似の傷病」と書いており、病名が変わっても実質的に同じ原因による再発と判断されれば通算されます。傷病手当金の側も、健康保険法第99条第4項が「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病」と定めており、元の傷病から派生した病気を含みます。判断は診断書の内容で行われるため、主治医に経過の記載を依頼するのが実務的な対応です。

Q. 会社が就業規則を見せてくれません。どうすればいいですか?

A. 見せるのは会社の義務です。労働基準法第106条第1項は、使用者は就業規則を「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」と定めています。この義務に違反した場合の罰則は同法第120条第1号に置かれ、30万円以下の罰金です。休職中で出社できないときは、メールで該当条文の写しを請求してください。

Q. 休職したあとに会社が通算規定を新しく作った場合はどうなりますか?

A. 自動的には適用されません。労働契約法第9条は「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定めています。例外は同法第10条で、変更後の就業規則を周知させ、かつ不利益の程度・変更の必要性・内容の相当性・労働組合等との交渉状況に照らして合理的である場合に限られます。変更日と自分の休職開始日を先に確認してください。

今日のうちに確認できる3つのこと

会社に何も告げずに、手元だけで終わる作業が3つあります。この3つが揃えば残り日数が確定します。

  • 就業規則の休職条項の写しを請求する — メール1通で足ります。労働基準法第106条第1項が周知を義務づけているため、断る理由が会社にはありません。届いたら本記事の5項目を順に拾ってください
  • 1回目の休職の開始日・終了日・復職日を書き出す — 使った日数と、復職からの経過期間が同時に出ます。通算のトリガー期間を過ぎているかどうかは、この復職日で決まります
  • 傷病手当金の支給決定通知書を並べて支給された期間を数える — 通算1年6か月のうちどれだけを使ったかがわかります。休職期間と傷病手当金のどちらが先に尽きるかは、この2つを並べて初めて見えます

3つとも数字の作業です。回数を気にしている間は判断できませんが、残り日数が出れば、復職を目指すのか退職に切り替えるのかを金額と日付で決められます。数字を出したうえで会社とのやり取りが体調に響くと感じたなら、窓口を切り離すほうが回復は早くなります。

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