退職代行は高校生・未成年のバイトも使える|18歳の壁

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退職代行を自分ひとりで申し込めるかどうかは、18歳の誕生日を境に切り替わります。民法第4条が「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めており、この規定は2022年4月1日から施行されています。学年ではなく誕生日が基準です。
想定しているのは、バイト先を辞めたいのに店長へ言い出せず、親に相談すれば「無責任だ」と言われそうで、そこも詰んでいるという状況です。「未成年は親の同意が必要」とだけ書かれた説明では、高校3年生が自分に当てはまるのかどうかも判断できません。
この記事では年齢ごとに使える手段を分けて整理します。17歳以下で退職代行を申し込めない場合も、労働基準法には別のルートが用意されています。親権者と行政官庁が労働契約を解除できるという条文があり、こちらは費用がかかりません。
- 18歳以上かどうかで退職代行の申し込み可否が変わる法的な理由
- 年齢・学年別に「自分だけで申し込めるか」を判定する2026年版の表
- 退職代行が17歳以下の申し込みに法定代理人の同意を求める構造上の理由
- 労働基準法第58条第2項による、親権者・行政官庁からの解除ルート
- 辞めたあとの未払い給料を、親を通さず本人が請求できる根拠条文
- 退職代行の費用が、バイトの時給に換算すると何時間分になるかの試算
結論|18歳を過ぎていれば、親の同意なく申し込めます
高校生であっても、18歳の誕生日を迎えていれば退職代行を自分の名前で申し込めます。成年になった時点で民法第5条の対象から外れるため、親の同意も、親への連絡も法律上は不要です。
17歳以下は逆になります。民法第5条第1項は「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない」と定めています。退職代行への依頼は料金を支払う義務が発生する契約なので、このただし書きにはあてはまりません。
多くの記事が「未成年は親の同意が必要」と書いていますが、2022年4月1日の成年年齢引き下げ以降、高校3年生の教室には成年と未成年が混在しています。同じクラスでも、誕生日を迎えた人は自分で申し込めて、まだの人はできません。判定は学年ではなく誕生日で行ってください。
【2026年版】年齢・学年別に見る、退職代行の申し込み可否
年齢ごとに、使える手段と根拠条文をまとめました。学年は目安であり、実際の判定は誕生日を迎えているかどうかで行います。
| 年齢(学年の目安) | 自分だけで退職代行を申し込めるか | 根拠となる条文 | 同意なしで進められる代替ルート |
|---|---|---|---|
| 18歳以上(高3の誕生日以降・大学生・高卒就職者) | 申し込める | 民法第4条により成年。民法第5条の対象外 | 代替を探す必要がありません |
| 16〜17歳(高1〜高3の誕生日前) | 法定代理人の同意が必要 | 民法第5条第1項。同意がなければ第2項で取消しの対象 | 労働基準法第58条第2項による親権者・行政官庁からの解除/民法第627条第1項による本人からの申出 |
| 15歳(中学卒業後から高1の誕生日前) | 法定代理人の同意が必要 | 同上 | 同上。加えて労働基準法第61条第1項の深夜業規制の対象 |
表の3行はすべて「辞められるか」ではなく「有料の退職代行を自分の名前で契約できるか」の話です。退職そのものに年齢制限はありません。民法第627条第1項は、期間の定めのない雇用について、解約の申入れの日から2週間を経過することで契約が終了すると定めています。この条文に年齢の要件はついていません。
雇用形態ごとの費用感はアルバイト・パートの退職代行料金|雇用形態別の最安比較で比較しています。コンビニなど個人店とチェーン店で対応が変わる点は退職代行でコンビニバイトは辞められるにまとめました。
17歳以下の申し込みに同意が求められるのは「取り消せる契約」だから
理由は、同意のない契約があとから取り消される仕組みにあります。民法第5条第2項は「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」と定めています。取消権を持つのは本人と法定代理人です。
この取消しが実際に起きると何が戻るかを整理します。退職代行の側は受け取った料金を返さなければなりません。一方で、すでに会社へ連絡を入れて退職の意思を伝えた作業は取り消せません。手間だけが残って対価が消える構造になっているため、17歳以下の依頼には法定代理人の同意が確認されます。
ここは読者の側から見ると重要な意味を持ちます。17歳以下の人が同意なしで申し込んだ場合、退職代行の側から断られる可能性が高いということです。申し込んでから断られると、その間バイト先には何も伝わっていません。年齢の条件は、相談する前に確認しておくべき項目です。
言い出せずに止まっている段階なら、辞め方の選択肢そのものを広げておくほうが早く進みます。伝え方の型はバイト辞めたいと言えない時の解決策7選で7パターンに分けて整理しています。
親の同意が取れないときに残る、労働基準法第58条第2項のルート
17歳以下でも、親権者の側から労働契約を解除できる条文があります。退職代行と違って費用はかかりません。競合記事のほとんどが触れていない条文です。
「親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。」
労働基準法第58条第2項
この条文には3つの読みどころがあります。1つ目は、解除できる主体に行政官庁が含まれていることです。労働基準監督署などの労働行政の窓口を指します。親が動かなくても、行政の側から解除できる設計になっています。
2つ目は「将来に向つて」という限定です。過去にさかのぼって契約をなかったことにはできません。すでに働いた分の給料は、解除しても請求できます。3つ目は、判断基準が「未成年者に不利であると認める場合」であることです。本人が辞めたいかどうかではなく、契約の内容が本人にとって不利かどうかで判断されます。
同じ条文の第1項は、逆方向の禁止を定めています。「親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない」という規定です。親は契約を結ぶ側には立てないが、解除する側には立てるという非対称になっています。親が勝手にバイトを決めることは禁じられ、不利な契約から抜けさせることは認められている形です。
労働条件そのものに問題がある場合の相談先は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーです。予約なしで無料、本人が高校生でも利用できます。条文の全文はe-Gov法令検索の労働基準法で確認できます。
辞めたあとの給料は、親を通さず自分で請求できます
最後の給料が親に渡ることはありません。労働基準法第59条が、未成年者の賃金請求権を本人に固定しているためです。
「未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。」
労働基準法第59条
後半の禁止規定が向いている相手は会社です。会社が親権者へ給料を支払うことを禁じているのであって、本人の請求を制限する条文ではありません。辞めたあとに未払いが残っていた場合、本人が会社へ直接請求できます。
この点は「親に知られたくない」という悩みの実務的な答えになります。給料の受け取りを理由に親が登場する場面は、条文上つくられていません。バイト先から自宅へ電話が来る可能性は残りますが、それは給料の支払いとは別の話です。
辞めたあとに会社とやりとりが必要になる項目と、その進め方は退職代行でバイトを辞める方法|料金・注意点で扱っています。
22時以降のシフトに入れられているなら、それ自体が違法です
18歳未満の深夜シフトは、原則として法律違反です。辞めたい理由がここにある場合、辞める話とは別に会社側の問題として扱えます。
労働基準法第61条第1項は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないと定めています。ただし、交替制によって使用する満16歳以上の男性は例外とされています。コンビニや飲食店の閉店作業で22時を超えている場合、この規定に触れている可能性があります。
この規制は、辞めるときの交渉材料としてではなく、相談の入口として使えます。深夜シフトを断れずに続けている状態は、労働基準法第58条第2項がいう「労働契約が未成年者に不利であると認める場合」の判断材料にもなります。親に説明するときも、感情ではなく条文で説明できる形になります。
退職代行の費用は、バイト何時間分にあたるかで考える
退職代行の料金は15,000円から27,000円が中心です。金額だけを見ると判断しづらいので、バイトの労働時間に換算した試算を用意しました。
時給を1,000円と仮定して、料金が何時間分の労働にあたるかを計算しています。実際の時給は地域と職種で変わるため、自分の時給に置き換えて読んでください。シフトは週2回・1回4時間(月32時間)を想定しています。
| サービス | 料金(税込) | 時給1,000円での換算 | 月32時間シフトでの位置づけ |
|---|---|---|---|
| 退職代行ネルサポ | 15,000円 | 15時間分 | 月給の約半分 |
| 退職代行Jobs | 27,000円 | 27時間分 | 月給の約8割 |
| 退職代行Jobs(安心パック) | 29,000円 | 29時間分 | 月給の約9割 |
バイトの月収に対して、費用の比率は正社員の場合よりはるかに大きくなります。正社員が月給25万円で27,000円を払う場合は約1割ですが、月32時間のバイトでは8割です。同じ金額でも意味が違います。
この比率が、17歳以下で親の同意が必要になることと重なります。費用を親に出してもらう前提になるなら、そもそも親に話す必要が生じ、退職代行を使う理由の一部が消えます。ここまで踏まえたうえで、まだ有料の手段を選ぶ価値があるかを判断してください。
18歳以上の人が相談先を選ぶときの2つの基準
ここから紹介するサービスは、18歳以上であることが前提です。17歳以下の場合は法定代理人の同意が必要になり、同意のないまま申し込んでも取消しの対象になる契約が残るだけです。年齢を先に確認してください。
有給や未払い分の交渉が必要なら退職代行Jobs
シフトに入った分の給料が払われていない、有給を使わせてもらえないという争点がある場合に向いています。バイトでも6か月間の継続勤務があり、全労働日の8割以上出勤していれば有給は発生します。辞めるときにこれを消化するには、会社との日程の話し合いが必要です。
退職代行Jobsは合同労働組合ユニオンジャパンと連携しているため、退職日と有給の消化日程を会社と詰められます。料金は27,000円(税込)で、労働組合に同時加入する安心パックは29,000円(退職代行27,000円+組合費2,000円・加入金2,000円は免除)です。深夜のバイト帰りに決断する場面を想定すると、LINE・メール・電話が24時間365日つながる点も条件に入ります。
争点がなく費用を抑えたいなら退職代行ネルサポ
給料も有給も片づいていて、辞めると伝えるだけが残っている場合に向いています。バイトの月収に対して費用の比率が大きくなるため、争点がないなら安いほうを選ぶ判断は合理的です。
退職代行ネルサポは一律15,000円(税込)で、雇用形態による区分がありません。追加料金もなく、退職できなければ全額返金されます。累計退職者は5,000人を突破しています。ただし運営はネルサポート株式会社という民間業者のため、会社との交渉はできません。できるのは退職の意思を伝えるところまでです。未払い賃金や有給の交渉が必要な場合はJobsを選んでください。
退職代行を使わないほうがいいケース
17歳以下で親に相談できる関係にあるなら、退職代行は不要です。労働基準法第58条第2項の解除ルートに費用はかかりません。店長と話せる状態にある人も同じで、民法第627条第1項に沿って2週間前に申し出れば手続きは完了します。
辞めたあとも同じ職場の知人と関係が続く場合も、慎重に考える価値があります。学校の先輩や同級生が同じ店で働いているケースでは、代行を通したことが伝わります。サービスごとの比較軸は退職代行おすすめ|利用者23人の独自調査で選ぶに、パート・アルバイト全般の注意点は退職代行 パートでも使える?料金と注意点にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 高校生でも退職代行は使えますか?
A. 18歳になっていれば使えます。民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めており、2022年4月1日から施行されています。高校3年生でも誕生日を迎えていれば成年なので、親の同意なく自分の名前で申し込めます。17歳以下の場合は民法第5条第1項により法定代理人の同意が必要で、同意のない契約は同条第2項で取り消すことができます。学年ではなく誕生日で判定してください。
Q. 17歳ですが、親に知られずに退職代行を使えますか?
A. 17歳以下では親に知られずに申し込むことはできません。退職代行の依頼は料金を支払う義務が生じる契約なので、民法第5条第1項ただし書きの「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」にはあたりません。法定代理人の同意なく結んだ場合、同条第2項によりあとから取り消せる契約になります。親に伝えずに辞めたい場合は、退職代行ではなく自分で退職を申し出る方法を選ぶことになります。
Q. 親が「辞めるな」と言っている場合はどうすればいいですか?
A. 18歳以上なら親の同意は法律上不要です。18歳になっていれば成年なので、退職を申し出るのも退職代行に依頼するのも本人の判断で完結します。17歳以下の場合は逆のルートが使えます。労働基準法第58条第2項は「親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる」と定めています。契約内容が本人に不利だと親が判断すれば、親の側から解除を求められます。
Q. バイトを辞めたあと、最後の給料は親に振り込まれますか?
A. 本人が自分で請求して受け取ります。労働基準法第59条は「未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない」と定めています。未払いの給料がある場合、親を通さずに本人が会社へ請求できます。会社が親権者へ支払うことは条文で禁じられているため、辞めたあとの給料を理由に親へ連絡が行く筋合いはありません。
Q. 22時以降のシフトに入っていますが、これは違法ですか?
A. 18歳未満であれば原則として違法です。労働基準法第61条第1項は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないと定めています。ただし交替制で使用する満16歳以上の男性は例外とされています。この時間帯のシフトを断れずに悩んでいる場合、辞める理由としてだけでなく、労働基準監督署へ相談する材料にもなります。
Q. 退職代行を使わずにバイトを辞める方法はありますか?
A. 期間の定めのない契約なら、自分で申し出る方法があります。民法第627条第1項により、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することで終了します。年齢による制限はなく、17歳以下でも自分の意思で退職を申し出られます。申し出た記録が残る形にしたい場合は、口頭ではなくメールやアプリのメッセージで送ってください。契約期間が決まっている有期契約の場合は扱いが異なります。
相談する前に、手元で確認できる3つのこと
どれも今日のうちに終わります。順番に確認してから、使う手段を決めてください。
- 自分の誕生日から、今日時点で18歳になっているかを確認する — ここで使える手段が分かれます。学年ではなく誕生日です
- 雇用契約書かシフト表で、契約期間の記載を探す — 期間の定めがなければ民法第627条第1項の2週間ルールが使えます。期間の定めがある有期契約は扱いが変わります
- 直近3か月のシフトで、22時をまたいだ日を数える — 18歳未満で該当する日があれば、労働基準法第61条第1項に触れている可能性があります。相談時の材料になります
この3つが埋まると、有料の退職代行が必要なのか、費用ゼロのルートで足りるのかが判断できます。18歳以上で、給料や有給に争点が残っている場合は、労働組合と連携できるサービスに相談する価値があります。条文の原文はe-Gov法令検索の民法で確認できます。
出典一覧
- e-Gov法令検索「民法」(第4条 成年、第5条 未成年者の法律行為、第627条第1項 期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第58条 未成年者の労働契約、第59条 賃金の請求、第61条第1項 深夜業)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(労働条件に関する無料相談窓口)
