休職中の社会保険料|支払い方法と実額早見表【2026年】

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給与の支払いは休職と同時に止まりますが、社会保険料の請求は止まりません。収入がゼロになった月に、会社から「今月分の保険料を指定口座に振り込んでください」と連絡が来ます。
多くの解説記事は「休職中も社会保険料はかかります」で終わっています。実際に必要なのは、毎月いくら請求されるのかという実額と、3つある支払い方法のどれを選ぶと損をしないのかです。ここでは令和8年度の協会けんぽ料率で金額を計算し、本人の立場から比較します。
- 標準報酬月額別・年齢別の本人負担額(令和8年度の実料率で計算した早見表)
- 3つの支払い方法を「本人の手元にいくら残るか」で比較した結果
- 会社の立替分を復職後に一括天引きされたときに断れる法的根拠
- 免除されるのは産休・育休だけという線引きと、国民年金の免除制度が使えない理由
- 休職を続けた場合と退職した場合で、保険料の負担がどう変わるか
休職中も社会保険料の支払いが止まらない理由
理由は単純で、休職は「在籍したまま働いていない状態」だからです。労働契約は続いており、健康保険と厚生年金の被保険者資格も続きます。資格がある以上、保険料は毎月発生します。
会社が負担する分と本人が負担する分の割合も、在職中と変わりません。健康保険も厚生年金も労使折半です。変わるのは金額ではなく、徴収の方法だけです。給与が出ていれば天引きで完結していた手続きが、給与ゼロになった途端に「本人から回収する」という作業に変わります。
給与がゼロでも保険料額が下がらない仕組み
保険料は実際に受け取った給与ではなく、標準報酬月額という等級に対してかかります。標準報酬月額は原則として毎年4月から6月の報酬をもとに9月に改定され、翌年8月まで固定されます。
休職して報酬がゼロになっても、この等級は自動では下がりません。報酬が大きく変わったときに等級を見直す随時改定は、固定的賃金の変動と3ヶ月連続で報酬が支払われることが前提になるためです。報酬が支払われない休職ではこの要件を満たさず、休職前の等級のまま保険料が発生し続けます。月給40万円で働いていた人が休職しても、40万円相当の等級で請求が来るということです。
【2026年版】標準報酬月額別・社会保険料の実額早見表
ここが最も知りたい部分のはずです。令和8年度の協会けんぽ東京支部の料率で、本人負担額を計算しました。使った料率は、健康保険9.85%、子ども・子育て支援金0.23%、介護保険1.62%(40歳から64歳のみ)、厚生年金18.3%です。健康保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率と子ども・子育て支援金率は全国一律です。
これらを合計して労使折半にすると、本人負担率は40歳未満で14.19%、40歳から64歳で15.00%になります。
| 標準報酬月額 | 40歳未満の本人負担(月額) | 40〜64歳の本人負担(月額) | 6ヶ月休職した場合の累計(40〜64歳) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 28,380円 | 30,000円 | 180,000円 |
| 24万円 | 34,056円 | 36,000円 | 216,000円 |
| 28万円 | 39,732円 | 42,000円 | 252,000円 |
| 30万円 | 42,570円 | 45,000円 | 270,000円 |
| 38万円 | 53,922円 | 57,000円 | 342,000円 |
| 44万円 | 62,436円 | 66,000円 | 396,000円 |
料率から計算した目安です。実際の請求額は保険料額表の等級ごとに1円単位で決まっているため、数十円から数百円の差が出ます。正確な金額は会社の給与担当者に等級を確認してください。料率の出典は全国健康保険協会「令和8年度の都道府県毎の保険料率」です。
40歳の誕生日を迎えると負担が上がります
40歳から64歳までは介護保険の第2号被保険者になり、介護保険料が上乗せされます。介護保険料率は全国一律1.62%で、折半後の本人負担は0.81%です。標準報酬月額30万円なら月2,430円の増額になります。
休職中に40歳の誕生日を迎える場合、その月から請求額が変わります。会社からの案内が誕生日前の金額のままだと差額が後でまとめて請求されるため、振込額を自分で管理している人は注意してください。
傷病手当金から保険料を引いた実額
休職中の収入源は傷病手当金です。標準報酬月額30万円・40歳以上のモデルで、手元に残る額を出します。傷病手当金の日額は標準報酬日額の3分の2なので、30万円÷30日×2/3=6,667円(1円未満四捨五入)です。30日分で200,010円になります。
ここから社会保険料の本人負担45,000円を引くと、手元に残るのは155,010円です。標準報酬月額に対する割合は51.7%で、3分の2(66.7%)とは15ポイント離れています。さらに前年の所得に対する住民税が普通徴収で届くため、その月はもう一段下がります。生活費全体の組み立ては休職中に給料が出ないときの生活費|制度4つと申請先で扱っています。
支払い方法3つを本人の負担で徹底比較
結論から言うと、体調が許すなら「毎月の振込」が最も安全です。会社の立替は一見ラクですが、復職時にまとめて返す設計になっているため、復職初月の生活が壊れます。
この分野の解説記事の多くは、人事・労務担当者向けに「どうすれば会社が確実に回収できるか」という視点で書かれています。ここでは逆に、本人の手元にいくら残るかで3つを並べます。
① 会社の指定口座へ毎月振り込む
最も広く採られている方法です。会社が毎月の請求額を通知し、本人が指定口座へ振り込みます。債務が積み上がらないため、復職時に精算が残りません。
注意点は振込期日です。会社は納付期限までに保険料を納める義務を負っているため、本人の入金が遅れると会社が立て替えることになります。入金が続けて遅れると、会社側から連絡が増えます。連絡自体が負担になっている場合は、次の②か③を検討してください。
② 会社が立て替えて復職後に精算する
療養中の手続きが不要になるため、体調が悪い時期にはこれが選ばれがちです。問題は精算のときに起きます。標準報酬月額30万円・40歳以上で6ヶ月休職すると、立替額は270,000円に達します。
復職初月の給与30万円から、当月分の保険料45,000円と所得税・住民税が引かれ、さらに立替分270,000円を一括で控除されると、手取りはほぼ残りません。復職直後は時短勤務で給与自体が下がっていることも多く、控除しきれずに翌月へ繰り越すこともあります。
この一括控除は断れます。労働基準法第24条は、賃金を全額支払うことを使用者に義務づけています。法令に定めのある控除(税金・社会保険料の本人負担分)以外を給与から差し引くには、労使協定か本人の同意が必要です。立替金の返済は、この「法令に定めのある控除」ではありません。
- 1ヶ月あたりの控除上限額(手取りが生活費を下回らない額に設定する)
- 控除の回数と完了予定月
- 復職せずに退職した場合の返済方法
- 以上を口頭ではなく書面かメールで残すこと
③ 傷病手当金から相殺してもらう
会社が傷病手当金を代理で受け取り、保険料の本人負担分を差し引いた残額を本人に渡す方法です。振込作業も払い忘れもなくなります。本人の同意が前提で、健康保険への届け出が必要です。
デメリットは、入金経路が会社を経由することです。会社と距離を置きたい時期には向きません。また、支給決定の通知に書かれた金額と実際の受取額が合っているかは、自分で確認する必要があります。傷病手当金そのものの要件は全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」と退職代行と傷病手当金|継続受給5条件で確認してください。
保険料が払えないときに本人が動く手順
放置が最悪の選択です。連絡せずに滞納すると、会社は立て替えを続けたうえで、最終的に退職時の給与や退職金から相殺しようとします。金額が大きくなってから交渉するより、払えないと分かった時点で相談したほうが選択肢が残ります。
順番はこうです。
- 会社の給与担当に支払い時期の変更を相談する — 毎月の振込を、傷病手当金の入金日以降にずらせないか確認します。傷病手当金の初回入金は休職開始からおよそ1.5ヶ月かかるため、最初の1〜2ヶ月は手元に現金がない状態が普通です
- 分割か立替へ切り替える — 上の②に切り替える場合は、控除上限額を先に決めます
- 住民税の徴収猶予を申請する — 社会保険料は猶予制度がありませんが、住民税は市区町村の税務窓口で猶予を申請できます。会社を通しません
- 復職の見込みを主治医に確認する — 見込みが立たないなら、休職を延ばすほど保険料の債務だけが積み上がります
免除されるのは産休と育休だけです
「休職中は免除になる」という説明を見かけますが、免除されるのは産前産後休業と育児休業の期間だけです。この2つは本人負担分と事業主負担分の両方が免除されます。
病気やケガによる私傷病休職には、同じ免除の仕組みがありません。うつ病でも適応障害でも、休職が何ヶ月続いても保険料は発生し続けます。ここを免除と誤解したまま振り込みを止めると、債務だけが積み上がります。
国民年金の免除制度は使えません
収入がない場合に使える国民年金保険料の免除・納付猶予制度は、国民年金の第1号被保険者が対象です。会社に在籍して厚生年金に加入している休職者は第2号被保険者なので、この制度の対象外です。
つまり、在籍している限り「収入がないから免除」という道はありません。負担を下げる手段が制度側に用意されていないという点は、休職を続けるか退職するかを判断するときの材料になります。
休職を続けた場合と退職した場合の負担比較
保険料だけを見ると、退職したほうが月々の負担は下がります。厚生年金の本人負担が消えるためです。標準報酬月額30万円のモデルで内訳を比べます。
| 項目 | 休職を続ける(在籍) | 退職して任意継続を選ぶ |
|---|---|---|
| 健康保険・介護保険 | 17,550円(労使折半あり) | 35,100円(全額自己負担・上限あり) |
| 年金 | 厚生年金 27,450円(労使折半あり) | 国民年金の定額保険料 |
| 傷病手当金 | 通算1年6ヶ月まで受給 | 要件を満たせば継続受給 |
| 保険料の免除・軽減 | なし | 国民健康保険なら軽減・減免の相談が可能 |
健康保険だけを見ると、任意継続は労使折半がなくなるため約2倍になります。ただし任意継続には保険料の算定基礎に上限が設けられており、給与が高かった人ほど頭打ちの恩恵を受けます。制度の詳細は全国健康保険協会「任意継続被保険者制度」で確認できます。国民健康保険と比べてどちらが安いかは前年所得と自治体で変わるため、両方の見積もりを取ってから決めてください。
退職しても傷病手当金は止まりません
退職をためらう最大の理由が「手当が止まるのでは」という不安ですが、止まりません。健康保険法第104条は、資格喪失後の継続給付を定めています。
被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者は、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。
健康保険法 第104条(資格喪失後の傷病手当金の継続給付)の要旨
条件は、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態であること、そして退職日に出勤していないことです。最後の1つで失敗する人がいます。挨拶や私物の引き取りのために退職日に出社すると、労務不能でなかったと扱われて継続給付を受けられません。
在籍を続ける意味があるかを金額で判断する
復職の見込みが立っているなら、在籍を続ける意味があります。等級が維持され、厚生年金の加入期間も伸びるためです。一方、復職の見込みがないまま在籍を続けると、毎月45,000円の保険料だけが積み上がります。半年で270,000円、1年で540,000円です。
休職期間が就業規則の上限に達すると自然退職になる会社が大半です。その場合の扱いは休職期間満了の退職|自然退職と失業保険の全手順、休職と退職の損得の比較は休職と退職はどっちが得?お金で徹底比較にまとめています。退職後の健康保険・年金の切り替え手続きは退職代行後の社会保険|健康保険・年金の手続きで確認してください。
会社に退職を伝えられない状態のとき
休職が長引く原因が職場そのものにある場合、退職を伝える連絡が最後の壁になります。傷病手当金の継続受給を守るには退職日の設定が重要で、退職日に出勤扱いが入らないよう調整する必要があります。伝達しかできない業者では、この調整ができません。
退職代行Jobsは合同労働組合ユニオンジャパンと連携しており、退職日の調整や有給消化の交渉に対応できます。料金は27,000円(税込)、安心パックは29,000円(退職代行27,000円+組合費2,000円・同時加入で加入金2,000円は免除)です。24時間365日、LINE・メール・電話で相談できます。
ハラスメントや長時間労働が休職の引き金になった場合は、弁護士法人ガイア法律事務所が選択肢になります。料金は25,300円(税込)からで、残業代等の請求では成功報酬20〜30%が別途かかります。慰謝料や未払い賃金の請求は弁護士にしかできません。離職理由まで含めて争うなら弁護士法人が確実です。LINE・メールで無料相談できます。
休職中の退職の進め方そのものは退職代行は休職中でも使える|傷病手当金を守る辞め方に手順をまとめています。給付金の申請代行をうたう業者には誇大広告の問題があるため、見分け方は社会保険給付金サポートは怪しい?を先に読んでください。
よくある質問(FAQ)
Q. 休職中の社会保険料は誰が払うのですか?
A. 在職中と同じく、本人負担分は本人が、事業主負担分は会社が払います。休職しても健康保険と厚生年金の被保険者資格は続くため、負担割合は変わりません。変わるのは徴収の方法だけです。給与が出ないと給与天引きができないため、会社の指定口座へ振り込むか、会社が立て替えて後から精算するか、傷病手当金から相殺してもらうかのいずれかになります。
Q. 給料がゼロなのに保険料の金額が下がらないのはなぜですか?
A. 保険料が標準報酬月額を基準に決まるからです。標準報酬月額は原則として毎年4月から6月の報酬をもとに9月に改定され、翌年8月まで固定されます。随時改定は固定的賃金の変動と3ヶ月連続の報酬支払いが前提になるため、報酬が支払われない休職では要件を満たしません。休職前の等級のまま保険料が発生し続けます。
Q. 休職中に社会保険料が免除される制度はありますか?
A. 産前産後休業と育児休業の期間だけです。この2つは本人負担分と事業主負担分の両方が免除されます。病気やケガによる私傷病休職には同じ免除の仕組みがありません。国民年金の保険料免除・納付猶予制度は第1号被保険者が対象で、会社に在籍して厚生年金に加入している休職者は対象外です。
Q. 会社が立て替えた保険料を、復職後の給与から一括で引かれても断れませんか?
A. 断れます。労働基準法第24条は賃金を全額支払うことを義務づけており、立替金を給与から控除するには労使協定か本人の同意が必要です。半年休職して標準報酬月額30万円・40歳以上の場合、立替額は約27万円に達します。控除に応じる場合も、月あたりの上限額と回数を決めて書面に残してください。
Q. 傷病手当金から社会保険料を差し引いてもらうことはできますか?
A. 本人が同意すれば可能です。会社が傷病手当金を代理受領し、本人負担分の保険料を差し引いた残額を本人に渡す運用です。振り込みの手間がなくなり、払い忘れも防げます。ただし入金は会社経由になるため、支給決定の通知内容と実際の受取額が合っているかは自分で確認してください。
Q. 退職すると社会保険料の負担はどうなりますか?
A. 厚生年金保険料の本人負担がなくなり、国民年金の定額保険料に切り替わります。健康保険は任意継続か国民健康保険を選びます。任意継続は労使折半がなくなって全額自己負担になりますが、算定基礎に上限が設けられています。なお、退職しても傷病手当金は止まりません。健康保険法第104条の要件を満たせば、退職後も通算1年6ヶ月まで受け取れます。
今週中に確認しておく3つのこと
保険料の請求は、休職の開始月から発生しています。順番を固定して処理してください。
- 自分の標準報酬月額を給与担当に確認する — 等級が分かれば、上の早見表で毎月の請求額が読めます。40歳以上なら介護保険料が上乗せされている前提で見てください
- 支払い方法をどれにするか決めて、書面で残す — 立替を選ぶなら、復職後の控除上限額と回数を先に決めます。一括控除に同意する必要はありません
- 復職の見込みを主治医に確認する — 見込みが立たないなら、在籍を続けるほど保険料の債務だけが積み上がります。標準報酬月額30万円なら1年で540,000円です
3つ目が最も重いです。復職の見込みがないまま在籍だけを続けても、保険料の請求は毎月届きます。退職に切り替える場合でも傷病手当金は要件を満たせば続くため、金額で判断してください。判断材料は休職と退職はどっちが得?お金で徹底比較、退職の進め方は退職代行は休職中でも使える|傷病手当金を守る辞め方にあります。
出典一覧
- 全国健康保険協会「令和8年度の都道府県毎の保険料率」(東京支部9.85%・介護保険料率1.62%・子ども子育て支援金率0.23%)
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(支給額の計算方法・通算1年6ヶ月)
- 全国健康保険協会「任意継続被保険者制度」(退職後の全額自己負担と算定基礎の上限)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第24条 賃金の全額払いの原則)
- e-Gov法令検索「健康保険法 第104条」(資格喪失後の傷病手当金の継続給付)
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(対象は第1号被保険者)
