【2026年最新】傷病手当金は退職後も継続受給できる?健康保険法104条の4条件・申請手順・落とし穴を完全解説

傷病手当金は退職後も継続受給できる?4条件と申請手順

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労働問題専門メディア編集部

退職・社会保険に関する公的情報を専門に扱うメディア。協会けんぽ・厚生労働省公表資料をもとに、健康保険法の条文に基づいた正確な情報を利用者目線で解説しています。

健康保険法第104条——この条文が「退職後も傷病手当金を受け取れる」根拠です。ただし同条文は「被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる」と定めており、4つの要件をすべて満たした場合に限ることが明記されています。

そのうち1つは退職当日にしか回避できない「取り返しのつかない条件」です。知らずに退職日に会社へ行った結果、それまで受給していた傷病手当金が打ち切りになるケースは毎年後を絶ちません。

本記事では、健康保険法104条の4要件の詳細・退職後の申請手順・国保と任意継続の選択・28ヶ月活用術・退職代行を使う場合の注意点を、公的資料をもとに体系的に解説します。

この記事でわかること
  • 健康保険法104条の「退職後継続給付」4要件の全詳細
  • 退職日に出勤すると受給権を失う理由と回避策
  • 退職後の傷病手当金申請書の書き方と提出先(会社不要)
  • 国民健康保険・任意継続と傷病手当金の関係(影響なし)
  • 受給が止まる4つの落とし穴と対策
  • 傷病手当金から失業保険へ切り替え最大28ヶ月活用する方法
  • 退職代行を使うと継続受給の要件を自動クリアできる理由

傷病手当金は退職後も受給できる?(結論)

結論から言えば、条件を満たせば退職後も傷病手当金を継続受給できます。根拠は健康保険法第104条(資格喪失後の継続給付)です。退職(健康保険の資格喪失)後も、一定の要件を満たす場合に限り、退職前に加入していた健康保険(協会けんぽ・健保組合)から最長1年6ヶ月分の給付を継続して受け取ることができます。

ただし、退職後に新たに傷病手当金の申請を始めることはできません。あくまで「在職中に受給中または受給要件を満たしていた」状態の継続です。退職後に初めて病気やケガで働けなくなった場合は対象外になります。

ケース退職後の傷病手当金
在職中に受給中で4要件を満たして退職✅ 継続受給できる
在職中に待機3日を満たして退職✅ 継続受給できる
退職後に初めて傷病で働けなくなった❌ 受給不可
退職日に出勤した❌ 受給不可(要件③違反)
被保険者期間が1年未満❌ 受給不可(要件①違反)

退職後継続受給に必要な4つの条件(健康保険法104条)

健康保険法第104条が定める「資格喪失後の継続給付」を受けるには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると給付を受けることができません。

要件内容注意点
①被保険者期間退職日まで継続して1年以上の健康保険加入国保・任意継続期間は含まない
②受給要件充足退職日時点で受給中または待機3日完成済み退職後に初めて申請は不可
③退職日に出勤しない退職日に労務不能状態を継続短時間でも出勤で要件喪失
④同一傷病の継続療養退職後も同じ病気・ケガで療養中一時回復→再発は再支給不可

条件①:退職日まで継続して1年以上の健康保険加入

退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上、被用者保険(協会けんぽ・健保組合)に加入していることが必要です。

「継続して」という点が重要で、転職歴があっても前の会社と次の会社の健康保険加入に1日の空白もなければ通算可能です。ただし以下の期間は通算できません。

  • 国民健康保険(国保)の加入期間
  • 任意継続被保険者としての期間
  • 共済組合の被保険者期間(一部を除く)

例えば、A社に10ヶ月加入→退職→国保に2ヶ月→B社に5ヶ月加入した場合、「A社+B社=15ヶ月」にはなりません。国保期間があるため通算がリセットされ、B社の5ヶ月のみとなり要件①を満たせません。

条件②:退職日時点で傷病手当金の受給中または受給要件を満たしている

退職日の時点で、次のいずれかの状態であることが必要です。

  • すでに傷病手当金を受給している
  • 傷病手当金の支給要件を満たしている(待機期間3日間が完成している)

待機期間とは、業務外の傷病により連続3日間労務不能であった状態のことです(1日目・2日目・3日目の3日間、報酬の有無を問いません)。待機3日間が完成した翌日から傷病手当金の支給対象となります。

在職中に休職して3日以上休んでいた方は、この要件を自動的に満たしていることになります。

条件③:退職日に出勤しない(最重要・唯一の「当日しか回避できない」条件)

4つの要件の中で最も注意が必要なのがこの条件です。

退職日(資格喪失日の前日)に出勤すると「労務可能」とみなされ、健康保険法104条の継続給付要件を満たさなくなります。その結果、退職前まで受給していた傷病手当金が打ち切りになります

退職日の出勤が危険な理由:毎年起きる失敗パターン

「引き継ぎのためだけなら大丈夫だろう」「短時間だから問題ない」——こう思って退職日に出勤し、傷病手当金が打ち切りになる事例が後を絶ちません。

出勤簿やタイムカードに記録が残れば「労務可能」と判定されます。業務をしていなくても、会社に足を踏み入れた事実が問題になります。

一方、以下のケースは「出勤扱い」にはならず要件③を満たします。

  • 有給休暇として処理された日(欠勤扱いでも有給でも問題なし)
  • 公休日(土日・祝日)が退職日にあたる場合
  • 会社側が欠勤扱いにした日

ポイントは「その日に就労実績があるか」ではなく、「会社が当日を就労日として扱っているか」です。退職代行を利用して退職日に出社しない場合、退職日は欠勤または有給消化扱いになるため、条件③を自動的に満たすことができます。

条件④:退職後も同一傷病での療養が継続している

退職後も、退職前と同じ病気やケガで労務不能の状態が継続していることが必要です。別の傷病が加わった場合でも、もともとの傷病での労務不能が継続していれば給付は続きます。

ただし、いったん回復して就労可能になった後に同じ病気が再発した場合は再給付の対象になりません。「継続」という言葉の意味が厳格に問われる点に注意が必要です。

傷病手当金の申請書類と退職後の手続きのイメージ

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退職後の傷病手当金申請手順(会社を通さない方法)

退職後の申請は、在職中と大きく異なる点があります。会社(事業主)の証明欄が不要になる点が最大の変化です。退職後は直接、保険者(協会けんぽまたは健保組合)に申請書を送付します。

退職後の申請に必要な書類

書類入手方法注意点
健康保険傷病手当金支給申請書協会けんぽWebサイト・各健保組合からダウンロード退職後は「事業主記入欄」が不要
医師の証明(療養担当者記入欄)通院先の医師に記入を依頼毎回必須。空白期間は不支給になる
退職証明書または健康保険資格喪失証明書会社から取り寄せる(初回のみ)退職後初回申請時のみ必要な場合がある

申請書の記入ポイントと提出先

退職後の申請では、申請書の「事業主記入欄」を空欄のまま提出します(退職していることが明らかなため会社の証明は不要)。

最も重要なのは医師の証明欄を途切れさせないことです。転居や医療機関の変更があっても、診察のない期間が生じないよう注意してください。医師証明に空白があった期間は傷病手当金が支給されません。

申請は1ヶ月ごと(または受給可能な期間ごと)に行うのが一般的です。申請書は退職前に加入していた健康保険組合または協会けんぽの各都道府県支部に郵送します。

申請の時効は2年

傷病手当金の時効は、給付を受ける権利が発生した日(労務不能状態が発生した翌日)から2年です(健康保険法193条)。過去に遡って申請できますが、2年を超えた期間分は請求できなくなります。早めの申請を心がけましょう。

国保・任意継続と傷病手当金の関係

退職後の健康保険の選択肢は主に2つ——「任意継続被保険者(元の健保を最大2年間継続)」と「国民健康保険(国保)への切り替え」ですが、どちらを選んでも傷病手当金の継続受給には影響しません

傷病手当金の「退職後継続給付」は、あくまで退職前に加入していた健康保険(協会けんぽ・健保組合)から支払われるものです。退職後に国保や任意継続に切り替えても、給付の窓口は変わりません。国保から傷病手当金を受け取ることはできません(一部の自治体条例除く)。

退職後の保険傷病手当金の給付元影響
任意継続退職前の健保(協会けんぽ・健保組合)影響なし
国民健康保険退職前の健保(協会けんぽ・健保組合)影響なし
家族の扶養に入る退職前の健保(協会けんぽ・健保組合)影響なし

任意継続を選ぶか国保を選ぶかは、保険料の額で判断します。任意継続の保険料は在職中の会社負担分を自己負担するため割高になるケースが多いですが、所得が低い場合(特に病気で就労できていない場合)は国保の方が安くなることもあります。両者の保険料を比較した上で選択することをお勧めします。

退職後の健康保険の手続きと書類を確認するイメージ

受給が止まる4つの落とし穴

退職後に傷病手当金が突然止まる原因として、よくある落とし穴を4つ紹介します。

落とし穴①:アルバイト・軽作業で「労務可能」と判定される

傷病手当金は「労務不能」である間に支給されます。アルバイト・内職・業務委託など、収入の有無にかかわらず何らかの就労をすると「労務可能」とみなされる可能性があります。

「少し動けるようになったから短時間だけ」という行動が受給権の喪失につながります。就労を検討する場合は、必ず担当医師に相談してから行うようにしましょう。

落とし穴②:転院・引っ越しで医師証明に空白が生じる

傷病手当金の申請には毎回、担当医師の労務不能証明が必要です。転居に伴う転院や医療機関の変更があった場合、新しい医師の証明が得られるまでの空白期間が生まれやすくなります。

この空白期間は「医師による労務不能の証明がない」ため傷病手当金が支給されません。転院する場合は、前の医療機関の最終診察日と新しい医療機関の初診日が連続するよう日程を調整することが重要です。

落とし穴③:在職中「通算」と退職後「断続不可」の違い

在職中の傷病手当金は、支給開始日から通算1年6ヶ月です。就労可能になって働いた日は通算に含まれず、再び労務不能になれば受給を再開できます(2022年1月改正後のルール)。

しかし退職後の継続給付では、「同一傷病での労務不能が継続していること」が要件です。一時的に回復して就労可能になった場合、退職後の継続給付は終了し、再発しても継続給付には戻れません(在職中の通算ルールとは異なります)。

在職中と退職後の傷病手当金の違い
  • 在職中:支給開始から通算1年6ヶ月。回復して就労した期間は通算外(2022年改正)
  • 退職後:継続給付の期間は通算1年6ヶ月の残存分のみ。一時回復後の再給付不可

落とし穴④:受給期間(1年6ヶ月)が在職中に大きく消費されている

傷病手当金の受給可能期間(支給開始から通算1年6ヶ月)は在職中から消費されています。退職後の継続給付はこの1年6ヶ月の残存期間分のみです。在職中に1年受給していた場合、退職後は残り6ヶ月分しか受け取れません。

退職前に在職中の受給期間がどのくらい残っているかを、加入している健保組合または協会けんぽに確認しておくことをお勧めします。

傷病手当金→失業保険 最大28ヶ月活用術

傷病手当金と失業保険(雇用保険の基本手当)は同時に受給できません(併給禁止)。しかし、賢く切り替えることで最大28ヶ月(傷病手当金1年6ヶ月+失業保険の給付期間)の所得補償を受け取ることができます。

受給期間延長申請が鍵

失業保険の受給期間は、離職日の翌日から原則1年間(所定給付日数が1年以内の場合)です。傷病手当金を受給している間は就職活動ができず「失業状態」として認定されないため、そのまま放置すると失業保険を受給できる権利が時効(1年間)で消滅します

これを防ぐには、ハローワークで「受給期間延長申請」を行います。延長申請をすることで、失業保険の受給期間が最大4年(本来の1年+延長3年)まで延長され、傷病手当金の受給が終了して就労可能になった時点で失業保険の申請ができるようになります。

受給期間延長申請の手順
  1. 退職日の翌日から30日が経過した後、最寄りのハローワークへ
  2. 「受給期間・教育訓練給付適用対象期間延長申請書」を提出
  3. 医師の証明書(労務不能であることの証明)も必要
  4. 延長申請は受給期間終了の翌日から2ヶ月以内に行う必要あり

傷病手当金の受給が終了し、医師から就労可能と判断されたらハローワークで失業保険の受給手続きを行います。この流れで進めると、傷病手当金(最大18ヶ月)+失業保険(被保険者期間・年齢による)の合計で最大28ヶ月前後の所得補償が実現します。

失業保険の待機期間や給付制限については、失業保険の待機期間7日間の数え方と注意点で詳しく解説しています。また、ハローワーク初回訪問に必要な書類はハローワーク初回の持ち物チェックリストをご確認ください。

退職代行を使うと傷病手当金の継続受給要件を自動クリアできる理由

傷病手当金の継続受給において最もリスクが高いのは、条件③「退職日に出勤しないこと」です。普通に退職する場合、最終日の挨拶回りや引き継ぎのために出勤することが多く、この条件を満たせないリスクがあります。

退職代行を利用すると、退職日に会社へ行く必要がなくなります。退職代行業者が会社との連絡を代行するため、退職者は退職日も自宅で休むことができます。これにより、条件③を確実にクリアすることができます。

退職方法条件③のリスク
自分で退職を伝える△ 最終日の出勤を求められるリスクあり
退職代行を利用する✅ 退職日に出勤不要で条件③を自動クリア

さらに、弁護士法人が運営する退職代行では、傷病手当金の申請に必要な書類(療養給付に関する証明書類等)の取り寄せを会社に交渉することも依頼できます。民間業者や労働組合では交渉権の範囲に限界がありますが、弁護士法人であれば法的権限に基づいて対応できます。

退職代行と傷病手当金の関係についての詳細は、退職代行と傷病手当金|退職後の継続受給5条件と申請方法もあわせてご確認ください。

また、傷病手当金の受給中に退職する場合、退職給付金(傷病退職給付金)のサポートも受けられる専門窓口があります。転職×退職サポート窓口では、退職後の給付金申請を専門スタッフがサポートしています(LINEで相談、費用8,100円〜)。

よくある質問

Q. 傷病手当金は退職後ももらえますか?

A. 条件を満たせば退職後も最長1年6ヶ月(支給開始日から通算)継続受給できます。根拠は健康保険法第104条(資格喪失後の継続給付)です。①1年以上の被保険者期間②退職日時点で受給中または受給要件充足③退職日に出勤しない④同一傷病の継続療養——この4要件をすべて満たす必要があります。

Q. 退職日に出勤すると傷病手当金はどうなりますか?

A. 受給権を失います。退職日に「労務可能」と判定されると健康保険法104条の要件を満たさなくなり、それ以降の傷病手当金が支給されなくなります。引き継ぎや挨拶のためでも出勤簿に記録が残れば同様です。有給消化・欠勤扱い・公休日は問題ありません。

Q. 退職後の申請書はどこに提出しますか?

A. 退職前に加入していた健康保険組合または協会けんぽの都道府県支部に直接郵送します。退職後は会社を経由する必要がなく、事業主欄は空欄で構いません。担当医師の証明欄のみ毎回記入が必要です。

Q. 任意継続すると傷病手当金の金額は変わりますか?

A. 変わりません。退職後の傷病手当金は、退職前の標準報酬日額の2/3が支給されます。任意継続を選ぶか国保を選ぶかは傷病手当金の金額に影響しません。退職後の保険は医療費の自己負担軽減のために選ぶものであり、傷病手当金とは給付窓口も金額計算も独立しています。

Q. 傷病手当金と失業保険を同時に受給できますか?

A. できません。傷病手当金と雇用保険の基本手当(失業保険)は併給禁止です。ただし、傷病手当金受給中にハローワークで「受給期間延長申請」を行っておくことで、回復後に失業保険を受給できます。傷病手当金(最大18ヶ月)→失業保険の順に切り替えることで、長期的な所得補償が可能になります。

Q. 被保険者期間が1年未満の場合、退職後も受給できますか?

A. 退職後の継続給付(健康保険法104条)は利用できません。ただし、退職日までに受給要件を満たしていた場合、退職前に在職中として申請すること自体は可能です。また、在職中から継続して受給していた分は、1年未満でも「すでに支給されていた分」は引き続き受給できる場合があります。詳細は加入していた健保組合または協会けんぽに確認してください。

Q. うつ病・適応障害でも退職後の傷病手当金を受給できますか?

A. はい、受給できます。うつ病・適応障害は業務外の傷病として健康保険の傷病手当金の対象になります(業務上の傷病は労災保険の対象)。4つの要件を満たし、担当精神科医・心療内科医の労務不能証明を取得することで退職後も継続受給が可能です。退職代行を使えば退職日に会社へ行かずに済むため、精神的負担を最小化しながら要件③を確実にクリアできます。

傷病手当金の手続きが不安な方へ

傷病手当金の継続受給で最も大切なことは、退職日に出勤しないこと医師の証明を途切れさせないことの2点です。

体調不良で会社に退職を申し出ることが難しい場合、または退職日に会社へ行くことを避けたい場合は、退職代行の利用を検討することをお勧めします。特に弁護士法人の退職代行は、傷病手当金申請に関わる書類の取り寄せ交渉まで対応できるため、退職後の手続きをスムーズに進められます。

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傷病手当金の申請方法に関する外部情報は、全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイトおよびe-Gov法令検索(健康保険法第104条)でご確認ください。