傷病手当金の計算シミュレーションの計算根拠と更新履歴

傷病手当金の計算シミュレーションが、どの式と数え方で計算しているか、何を根拠にしているか、いつ何を直したかをまとめたページです。

計算の流れ

  1. 標準報酬月額 = 入力した月収を健康保険法第40条第1項の等級表に当てはめる(「標準報酬月額を入れる」を選んだ場合は入力した額)
  2. 30分の1に相当する額 = 標準報酬月額 ÷ 30 を、10円未満四捨五入(5円未満切り捨て・5円以上10円未満は10円に切り上げ)
  3. 加入12か月未満で協会けんぽの場合 = 全被保険者の平均の30分の1と比べて、少ないほう
  4. 1日あたりの支給額 = 30分の1に相当する額 × 2/3 を、1円未満四捨五入(50銭未満切り捨て・50銭以上1円未満は1円に切り上げ)
  5. 支給が始まる日 = 休み始めた日から3日を経過した日(4日目)
  6. 支給期間の終わり = 支給が始まる日から暦で1年6か月。総額 = 1日あたりの支給額 × その日数
  7. 給与が出る日 = 1日あたりの支給額 − 1日あたりの給与(0円を下回れば0円)

出典:健康保険法第40条・第99条・第108条。計算式の図と計算例は協会けんぽ「傷病手当金」と同じです(同ページの例=標準報酬月額16万円が6か月・18万円が6か月 → 平均17万円 → 5,670円 → 1日3,780円は、このツールでも同じ額になります)。

支給が始まる日と待期

傷病手当金は「労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から」支給されます(健康保険法第99条第1項)。休み始めた日を1日目として、4日目が支給開始日です。協会けんぽの説明では、最初の連続3日間(待期)には有給休暇や土日・祝日の公休日も含まれ、仕事中に業務外の理由で働けなくなった場合はその日を1日目とします。2日休んで3日目に働いた場合、待期は成立しません。

このツールは、入力した日から連続して休んでいる前提で4日目を出します。待期の途中で出勤した場合は、改めて連続3日休んだ日の翌日からです。

支給期間(通算1年6か月)の数え方

支給期間は「その支給を始めた日から通算して一年六月間」です(健康保険法第99条第4項・2022年1月1日から通算)。厚生労働省の令和3年12月27日 事務連絡 Q&Aは、問1で「支給を始める4日目より、暦に従って1年6月間の計算を行い、傷病手当金の支給期間を確定する」、問2で「令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給期間は令和5年9月3日までの549日間となる」としています。

このツールは、支給が始まる日から18か月後の同じ日の前日を最後の日とし、その月に同じ日がないときは月末を最後の日にしています(民法第143条)。Q&A の例は 2022年3月4日(金) → 2023年9月3日(日)・549日で、事務連絡と一致します。月末の例:2024年8月31日(土)に始まると、18か月後の2月に31日がないので2026年2月28日(土)まで(547日)です。

  • 日数は支給開始日によって 546〜550 日のどれかになります(2月29日をまたぐと多くなる)。休み始めた日を入れない場合、総額はこの幅で出しています
  • 途中で支給されなかった日(働いた日・給与が全額出た日・時効の日)は日数が減らない(Q&A 問1・問5・問10)
  • 給与などとの差額だけ支給された日は1日として数える(Q&A 問5)
  • 請求権の時効は、働けなかった日ごとにその翌日から2年(健康保険法第193条、Q&A 問9)

加入12か月未満の場合

支給開始日の属する月以前の直近の継続した期間で、標準報酬月額が定められている月が12か月に満たない場合は、①その各月の標準報酬月額の平均の30分の1と、②「傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の九月三十日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額」の30分の1の、いずれか少ない額の3分の2です(健康保険法第99条第2項ただし書)。月は「被保険者が現に属する保険者等により定められたもの」に限ります。

支給開始日(協会けんぽ)②の標準報酬月額1日あたりの上限
2025年3月31日以前¥300,000¥6,667
2025年4月1日〜2027年3月31日¥320,000¥7,113

30万円・32万円は協会けんぽ「傷病手当金」の記載(「30万円:支給開始日が令和7年3月31日以前の方」「32万円:支給開始日が令和7年4月1日以降の方」)。2026年4月〜2027年3月に支給が始まる場合の②は、基準日が同じ2025年9月30日である任意継続の標準報酬月額の上限が32万円であること(協会けんぽ「任意継続」、健康保険法第47条)で確かめています。2027年4月以降に支給が始まる場合の額は未公表のため、32万円で計算し、結果にその旨を出します。健康保険組合は組合ごとの平均で、このツールでは計算していません。

給与・年金などとの調整

報酬の全部または一部を受けられる期間は支給せず、報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは差額を支給します(健康保険法第108条第1項)。このツールは、入力した1日あたりの給与を1日あたりの支給額から引いて差額を出します。出産手当金(第103条)・障害厚生年金(第108条第3項。同じ理由の障害基礎年金があれば合算した額と比べる)・障害手当金(同第4項)・退職後の老齢年金(同第5項)・労災保険の休業補償給付・休業給付(第55条)との調整は計算していません。

手取りからの目安の計算

「手取り別の目安」は、額面(月の総支給額)から手取りを計算する式を、2つの条件で全部の額面について計算し、手取りがその額になる額面の幅を探したものです。幅の下の端は「手取りが多めに出る条件」で手取りがその額以上になる最も低い額面、上の端は「少なめに出る条件」で手取りがその額以下になる最も高い額面です。等級の境目では保険料が上がって手取りが少し下がることがあるので、額面は1円ずつ調べています。

社会保険料の労働者負担分は、50銭以下を切り捨て、50銭を超える端数を切り上げています。給与所得控除は所得税法第28条第3項の式で計算しています(年収660万円未満の人に使う別表第五の表とは、数百円の差が出ることがあります)。扶養家族・通勤手当・健康保険組合の料率・市区町村ごとの住民税の違いは入れていないので、目安の幅から外れる人もいます。

このツールで計算していないこと

  • 傷病手当金をもらえるかどうか(働けないかどうかは、医師の意見と仕事の内容をもとに加入先が判断します)
  • 12か月の間に変わった標準報酬月額の平均(平均の額を「標準報酬月額を入れる」に入れれば計算できます)
  • 健康保険組合の全被保険者の平均と、組合独自の上乗せ(付加給付)
  • 出産手当金・障害年金・障害手当金・老齢年金・労災保険との調整
  • 途中で働いた日や給与で支給されなかった日による、支給期間の延び
  • 退職後の継続給付を受けられるかどうか(健康保険法第104条)

参照している資料

いずれも2026年10月14日に内容を確認しました。

更新履歴

日付内容
2026年10月15日通算1年6か月を受けた場合の総額を、30日×18か月(540日)ではなく、支給開始日から暦で数えた日数(546〜550日)で出すように修正。加入12か月未満の人について、協会けんぽの全被保険者の平均(標準報酬月額32万円)と比べて少ないほうで計算するように変更(健康保険組合を選んだ場合は注記)。支給期間が終わる日、休んだ日に給与が出る場合の差額、結果の印刷とテキストでのコピー、計算例、手取り別の目安、もらえる条件・支給期間・支給が減る場合・申請の手順・退職後の受け取りの説明、早見表のページ、このページを追加。
2026年9月20日公開。

次回の確認予定

  • 2027年1月:令和9年分の源泉徴収の電算機計算の特例を国税庁で確認する
  • 2027年3月:協会けんぽの令和9年度の保険料率・介護保険料率・子ども・子育て支援金率と、2027年4月以降に支給が始まる場合の全被保険者の平均(任意継続の上限)を確認し、手取りの目安と加入12か月未満の計算を直す
  • 2027年4月:令和9年度の雇用保険料率と、健康保険法第40条・第99条・第108条の改正の有無を e-Gov で確認する

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